米スワースモア大学のシュワルツは、「結果に対する受け止め方」が2パターンあると提唱しています。
1つは、さまざまな選択がある中で、常に最高の結果を求める。こういった傾向がある人を「マキシマイザー」と呼んでいます。「マキシマイザー」には、多くの選択肢を徹底的に調べたうえで、ほかの選択肢が良かったかも……と思いつつも、自らの選択にポジティブな面を見いだせる「促進系マキシマイザー」と、常に最高を探し続け、選んだ結果に満足できない「評価系マキシマイザー」があるといいます。
多彩なメニューがある中でハンバーグを選び、料理が運ばれてきたとき「思っていたのと違うけど、おいしそうだからいいか」と、「う~ん、これじゃなかったな。次に来たときにリベンジだな」──その違いです。当然、結果に対する満足度は「促進系マキシマイザー」のほうが高く、「評価系マキシマイザー」はストレスをため込みやすいとされています。
もう1つが、自分なりに満足できる、「足るを知る」といったマインドを持つ人を「サティスファイサー」と分類しています。たとえば、商品を購入するときや飲食店に入るとき、徹底的に吟味せず、「こういうのを探していたんだよな」と自分の求める基準をクリアしていれば、特にこだわらずに満足できるのが、このタイプです。仮にさらに良いものを見つけたとしても自分は満足しているのだから必要以上にネガティブにならずに済むわけですね。物事には完璧などありません。そういう意味では「マキシマイザー」ではなく、「サティスファイサー」のマインドを持つことが望ましいでしょう。
「マキシマイザー」タイプは、言うなれば選択した結果に対して、後悔の念が付きまとうわけですから、これをいかに和らげるかもポイントでしょう。
ウィリアム・シェークスピアの戯曲「マクベス」の中で、マクベス夫人はダンカン王を暗殺したあとで罪の意識に駆られ、血の臭いが取れないと手を洗い続けます。この手を洗って罪の意識を洗い流そうとすることを「マクベス効果」などといいますが、米ミシガン大学アナーバー校のリーとシュワルツはこんな実験(2010年)を行っています。
まず、40人の学生に10枚の音楽CDのランクを好みで付けさせます。そのうえで、被験者同士が5位、または6位にランク付けしたCDをプレゼントし合いました。すると被験者の中には、「もう少し順位を上にしておけば」という人もいたそうです。
その後、被験者を手を洗うグループと手を洗わないグループに分け、再度ランク付けをさせてみると、手を洗ったグループはCDを前回と同じランクに付けました。一方、手を洗わなかったグループはプレゼントされたCDを前回のランクより高く付けました。この結果から、手を洗うと過去の決定に対する後悔も洗い流せるのではないかと、リーらは仮説づけています。
自責の念に駆られそうになったら「みそぎ」のつもりで、しっかりと手を洗ってみるといいかもしれませんよ。
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