肌がかゆくてかゆくて仕方ない。かゆみで夜もよく眠れない……。老化にともなって現れやすい「皮膚のかゆみ」。加齢によって、皮膚も変化します。角質細胞に含まれる保湿成分「天然保湿因子」や、角質細胞の隙間に存在する「角質細胞間脂質」が減少。角質中の水分が失われ、皮脂の分泌が低下することで皮膚が乾燥しやすくなってしまうのです。
皮膚の乾燥はバリアー機能を低下させ、外からの刺激を防ぐことができない原因になります。そのため、少しの刺激でもかゆみが起きてしまうのです。これは「老人性皮膚掻痒症」といって、50歳以上の男性に多くみられます。かゆいからといって、さらにかきむしると皮膚が傷ついて、より症状は悪化していきます。特に皮膚が乾燥する秋から冬にかけては、かゆみがひどくなりがち。外から十分な保湿ケアも重要ですが、食養生による改善にも努めましょう。
中医学では加齢による皮膚のかゆみは、「血」の巡りの悪さによって引き起こされると考えます。血は、全身に流れて体の隅々にまで栄養を与える液体を指します。それが滞り、皮膚を滋養できなくなることで、皮脂や水分の分泌が低下し、かゆみにつながるのです。改善のためにはまず、血行をよくする食材を取り入れましょう。また、老化をつかさどる臓器「腎」の働きが低下することも、皮脂や水分の不足を引き起こします。あわせて腎をサポートする食材の摂取も大切です。
おすすめの食材は黒酢です。血液の粘りを抑えてサラサラにすることで、血の巡りをよくする作用があります。肩こり、関節痛、頭痛、悪性腫瘍の改善にも役立ちます。また、腎を強化するパワーも大。老化によるトラブル全般に威力を発揮します。
そのほか、消化不良、食欲不振にもよいので、シニアの「お助け調味料」として、ぜひ積極的に取り入れてみましょう。
黒酢はアレンジするとさまざまな味わいが楽しめます。しょうゆ、サラダ油と混ぜればほんのり甘みのあるドレッシングに。オリーブオイル、塩を混ぜるとバルサミコ風で美味。
また、鶏肉、魚やレンコン、ナガイモを炒めて黒酢・しょうゆを1対1で味付けする「黒酢ソテー」もおすすめ。ほどよい酸味で、食欲がないときでもおいしくいただける一品に仕上がります。
黒酢の皮膚のかゆみを改善する効果を高めるためには、同様の効能を持つ黒豆との組み合わせがおすすめです。血を増やして血行を促進し、腎の機能を高める働きがあります。皮膚の乾燥の改善に役立つチーズなどもあわせて取り入れるとさらに効果的です。 (水曜掲載)
■黒酢高齢薬膳レシピ
黒豆とチーズの黒酢サラダ
血行促進とともに腎の強化に役立つ黒酢と黒豆、皮膚の乾燥を改善するチーズを組み合わせたサラダ。パセリも血の巡りをよくする野菜なので、たっぷりと使いましょう。
【材料】2人分
●蒸し黒豆 120グラム
●プロセスチーズ 4個
●パセリのみじん切り 適量
●A(黒酢・オリーブオイル・しょうゆ各大さじ1、こしょう少々)
【作り方】 ボウルに黒豆、1センチ角に切ったチーズを入れ、混ぜ合わせたAを加えてあえる。器に盛り、パセリをのせる。
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