健康長寿に役立つ高齢薬膳

【ショウガ】発汗を促し寒さを追い払う「冷え風邪」撃退の強い味方

ショウガとネギ、青じそのおかゆ(提供写真)
ショウガとネギ、青じそのおかゆ(提供写真)

 10月も末になると朝晩の冷え込みも強まり、風邪が気になる季節。なんだか寒けがして、風邪のひきはじめかもしれない……というときは早めに対処することが大切です。

 シニアは加齢によって免疫力が低下しているため、風邪をひきやすい傾向があります。しかも、一度風邪をひくと、なかなか治りにくくなります。また、呼吸器機能も衰えているため、喉の奥や気管支にウイルスが到達しやすく、せきや痰がひどくなりがち。そのまま風邪をこじらせて体力を消耗すると、気管支炎や肺炎といった合併症を引き起こし、重症化するリスクも高いのです。

 たかが風邪と思わずに、症状を自覚したらすぐに対策をとって、悪化を防ぎましょう。

 中医学では風邪にはタイプがあり、大きくは「冷え風邪」と「熱風邪」に分かれるとしています。体がゾクゾクして寒けがする風邪は冷え風邪。「風寒タイプ」といわれるものです。体の節々が痛い、だるい、肩や首など体がこわばるといった症状も見られます。

 この場合は冷えが原因なので、とにかく体を温めて汗をかき、寒けを追い払う食材を取り入れることが大切です。

 おすすめはショウガ。体を温める効果は、薬膳においても絶大です。中国では「生姜」と呼ばれる立派な生薬で、体の芯から発汗を促し、寒さを追い払う、冷え風邪撃退の強い味方です。

 ポイントは寒けを感じて何かおかしい……と思ったらすぐに取り入れること。外出先で不調を感じたら、帰宅してすぐにたっぷりのショウガを使った料理や飲み物を。そして体がポカポカ温まったら、なるべく早く布団に入りましょう。たっぷり毛布をかぶって、しっかり汗をかいてください。どれだけ汗をかいたかで、その後の回復度合いが決まってきます。

 ショウガは冷えによる胃痛や下痢など、とにかく「冷え」からくるトラブルの改善に役立ちます。また、冬の食養生には欠かせない食材です。老化をつかさどる臓器「腎」は寒さに弱いため、冬は最もその働きが低下します。

 中国では、冬にしっかりと体を温めると「長生きする」ともいわれているほどですから、ショウガを積極的に取り入れて、「冬老化防止」に努めましょう。

 ちなみに、ショウガの薬効は皮の部分に多く含まれるので、スプーンなどでそいで使うのがおすすめです。

 さらに、ショウガの冷え風邪を改善する効果を高めるためには、同じく強い発汗作用があるネギ、青じそと組み合わせるといいでしょう。

■ショウガ高齢薬膳レシピ

ショウガとネギ、青じそのおかゆ

 体を温め、しっかり発汗するショウガ、ネギ、青じそのトリプルタッグ。消化にやさしく温まるおかゆをとったら、すぐに布団へ!

【材料】2人分
●ショウガ 1かけ
●白がゆ(市販品)  2パック
●ネギ  1本
●青じそ  10枚
●塩  適量

【作り方】 鍋に白がゆ、小口切りにしたネギを入れて温め、塩で味を調える。すりおろしたショウガ、千切りにした青じそをのせる。

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池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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