自分では気が付きにくい体臭。最近、孫がなんだかあまり近づいてくれないような……もしかして加齢臭のせいかも!? 加齢臭は、加齢にともなって発するシニア特有の体臭です。
古本、古い背広、ポマードなどと形容されるすえた臭いで、40歳を過ぎたあたりから増加し、どんどんひどくなるとされています。
主な原因は、皮膚の潤いを維持するために皮脂を分泌する皮脂腺の中にある「ノネナール」という物質です。年齢を重ねると皮脂の分泌量は減りますが、脂の質が変化します。さらに酸化しやすくなることによって、ノネナールが発生してしまうのです。これは女性も同様です。
ノネナールは油性のため、洗ってもなかなか臭いが落ちないという厄介な特徴があります。命に関わる問題ではありませんが、周りの人を不快にしていないかどうかは気になるもの。食事を見直して、体の中からの「消臭」に努めましょう。
中医学における加齢臭対策は、中医学で「腎」と呼ばれる臓器がポイントになってきます。
腎は人間の成長や発育、老化をつかさどり、全身のエネルギーをためておく臓器で、まさに、シニアにとって要ともいえる臓器です。
腎の働きが弱ると白髪が増え、耳が遠くなり、足腰が曲がって弱くなる、歯がもろくなる、記憶力が低下する……と老化が加速し、加齢臭も発生します。よって、腎の働きを高めることが、加齢臭撃退にとって大切です。臭い対策とともに、若返りを図りましょう。
おすすめはタラ。いまが旬のタラは腎を強化する効能が高い魚です。また、人間のエネルギー源である「気」を補い、疲労回復や免疫力アップにも高い効果があります。
病後の体力回復にも優れた食材です。さらに「血」を増やす効能もあり、めまい、手足のしびれ、こむら返りの改善にも役立ちます。
冬は厳しい寒さを乗り越えるために気や血が失われがちな季節。タラは冬の健康維持にもパワフルな威力を発揮します。ぜひ、鍋ものなどで食べることをおすすめします。
タラの加齢臭改善効果を高めるには、同じく腎の働きを高める海藻類、黒キクラゲ、ナガイモ、ブロッコリー、黒ゴマなどと組み合わせるとよいでしょう。
腎の働きを高めるタラ、ワカメ、黒キクラゲを組み合わせたレシピ。電子レンジで手軽に作れます。淡泊なタラが中華風の味付けにすることで、ごはんが進む味わいに。
■タラ薬膳レシピ
タラのレンジ蒸し中華風味
【材料】2人分
●塩ダラ 2切れ
●乾燥ワカメ 小さじ2
●黒キクラゲ 5グラム
●ネギ 4分の1本
●酒 大さじ2
●ゴマ油 少々
●コショウ、ポン酢しょうゆ 適量
【作り方】 塩ダラに酒大さじ1をかけてしばらくなじませる。水気を取ってコショウを振り、耐熱皿に入れる。水で戻し食べやすく切った黒キクラゲ、ワカメ、斜め薄切りにしたネギを入れて酒大さじ1を振り、レンジで約5分加熱する。ゴマ油をかけ、ポン酢しょうゆで食べる。あればクコの実をのせる。
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