健康長寿に役立つ高齢薬膳

【菜の花】「肝」の働きを整えて解毒を促し老廃物を排出する

菜の花とアサリのスープ
菜の花とアサリのスープ(提供写真)

 3月を迎え、少しずつ春の訪れを感じる今日このごろ。暖かな季節の訪れはうれしいけれど、シニアにとっては体調管理に努めたい時季でもあります。

 春先は日中と夜の寒暖差が大きく、体温を調節する機能が低下しているシニアの体にとっては大きな負担になり、自律神経のバランスが乱れやすくなります。その結果、だるい、めまい、眠気がひどい、肩こりなどの不調が引き起こされるのです。

 中医学においては、春は気温の上昇とともに体内のエネルギーが高まる季節。それに伴い、「肝」と呼ばれる臓器の働きが過剰になってバランスを崩しやすいとされています。

 肝は血を貯蔵して体中に巡らせたり、解毒を行う働きを持ち、目や筋肉とも関わりの深い臓器です。そのため、春は疲れ目、目の充血、こむらがえりといったトラブルを起こしがち。

 また、春は体の上部にトラブルを起こしやすい特徴もあります。「春一番」に始まり風がよく吹く季節で、春の風は下から上に吹くといわれ陽気が上に集まりやすいため、めまい、のぼせ、頭痛、鼻水、鼻づまりなどを引き起こしやすいのです。

 これらのトラブルを防ぐために心がけたいのが「解毒」です。肝は解毒をつかさどる臓器。この働きをサポートしながら、解毒効果のある食材を取り入れることで、春特有のトラブルの改善を図れるのです。

 春は新陳代謝がアップして、体内に蓄積したものをいったんリセットするために老廃物を追い出そうとする「解毒の季節」で、じつはダイエットに成功しやすい季節でもあります。解毒のための食養生は不調の改善だけではなく、肥満気味の人にとってはムリのないスリムダウンにも役立ちます。

 解毒のためにおすすめなのは菜の花です。肝の働きを整え、解毒を促し老廃物の排出に威力を発揮します。炎症を鎮める作用があり、湿疹や吹き出物の改善にも良い食材で、のぼせやめまいにも役立ちます。

 おひたしのイメージが強い菜の花ですが、青菜のように炒め物にしたり、洋風の料理に使ってもおいしくいただけます。

 菜の花の春の不調改善効果を高めるには、肝の働きをサポートするアサリ、ホタテ、イカなどと組み合わせるのがおすすめです。

■菜の花高齢薬膳レシピ

菜の花とアサリのスープ

 解毒に役立つ菜の花と、肝の働きを助けるアサリを組み合わせたスープ。アサリのうまみがしみたほろ苦い菜の花が絶品。味付けは薄めにして、春らしい味わいを楽しんで。雑炊にするのもおすすめ。

【材料】2人分

●菜の花 2分の1把
●アサリ水煮缶(60グラム) 1缶
●しょうゆ 少々
●塩、コショウ 適量
●水 3カップ
●白すりゴマ 適量

【作り方】

 鍋に水、アサリ缶を汁ごと入れて熱し、煮立ったらザク切りにした菜の花を加え、火が通ってから、しょうゆ、塩、コショウで味を調える。器に盛り、白すりゴマを振る。

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池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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