健康長寿に役立つ高齢薬膳

【緑豆春雨】水分代謝をアップして利尿を促し「かぶれ」を改善

緑豆春雨
緑豆春雨(提供写真)

 肌に赤みをおびた発疹が出たり、小さなブツブツができてかゆい……。日常的に「かぶれ」と呼ばれるかゆみを伴う湿疹は、正式には「接触皮膚炎」という疾患です。何らかの物質が皮膚に触れたことで、刺激やアレルギー反応となって引き起こされ、かゆみ、赤み、ブツブツ、水膨れ、炎症といった症状が現れます。植物、動物、衣類、金属類、洗剤、医薬品などあらゆる物質が原因になります。介護が必要な人にみられる「おむつかぶれ」もこのひとつです。

 年齢を重ねると、かぶれを起こしやすくなります。加齢により皮脂の分泌量が減ることで水分保持能力は低下し、乾燥が進みます。さらに、表皮に水分を蓄える機能を担う角質細胞間物質と天然保湿因子も減少するため、角質の水分量はいよいよ低下します。その結果、皮膚のバリアー機能が損なわれて刺激に弱くなるのです。

 シニアの場合、物質と接触してから反応が現れるまでに数日間かかるケースも多くみられ、再発しやすい傾向もあります。原因を特定し、対処することがもちろん必要ですが、早めに改善するためには体の中からも「食」でケアしましょう。

 中医学において、かぶれは体内に熱がこもるとともに、余分な水分が生み出した湿気によって皮膚に赤みや盛り上がりが現れると考えます。とくに、これから迎える梅雨どきは、湿気が過剰になってかぶれを引き起こしやすくなるので注意が必要です。早期改善のためには、熱を鎮めて湿気を払うとともに、解毒作用の高い食材を取り入れることが大切です。

 おすすめは緑豆春雨。原料となる緑豆には解熱作用と、水分代謝をアップして利尿を促す優れた働きがあるのです。むくみ、膀胱炎の改善にも役立ちます。また、解毒作用も高く口内炎、吹き出物といったトラブルにも役立ちます。

 湿気をためこみがちな梅雨は、とくにむくみ、頭や体が重だるい、下痢、食欲不振、目やにといった症状が現れがち。積極的に取り入れたい食材です。緑豆春雨はサラダや炒め物以外にも、味噌汁やスープに入れたりして使いこなしてみましょう。

 緑豆春雨のかぶれ改善効果を高めるためには、水分を排出する効果の高いキュウリ、海藻類、解毒作用の高いアサリなどと組み合わせるとよいでしょう。

■緑豆春雨高齢薬膳レシピ

緑豆春雨とアサリ、キュウリのサラダ

 熱を冷まして体内の水気を追い出す作用に優れた緑豆春雨、利湿効果の高いキュウリ、解毒によいアサリを缶詰で取り入れたサラダ。栄養とうまみいっぱいのアサリ缶汁も利用します。冷やし中華風の味付けで、食欲のないときでもおいしくいただけます。

【材料】2人分
●緑豆春雨  60グラム
●キュウリ  2分の1本
●アサリ缶(60グラム)  1缶
●ドレッシング(ぽん酢大さじ2、ごま油大さじ1、鶏がらスープの素小さじ2分の1)

【作り方】
 鍋に湯を沸かし、沸騰したら緑豆春雨を入れて2分ゆでてざるにあげ、冷水で冷やす。冷めたら水気を切って食べやすく切る。
 ボウルにドレッシングの材料を入れて混ぜ合わせ、緑豆春雨、千切りにしたキュウリ、アサリ缶を汁ごと入れて混ぜ合わせて器に盛る。

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池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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