健康長寿に役立つ高齢薬膳

【サクランボ】体内の湿気を払う効能があり関節痛の改善に役立つ

サクランボとナタデココのグレープ風味(提供写真)
サクランボとナタデココのグレープ風味(提供写真)

 体の節々が痛んでつらい……。シニアが悩まされがちな「関節痛」。関節痛とは、関節の周辺に起きる痛みで、ズキズキとした重く鈍い痛み、こわばりや腫れ、しびれや麻痺を伴う場合もあります。主に膝や肘、腰、手足および足指の関節、手首などに起こり、とくに膝に多く発症します。

 加齢により骨や筋肉は弱まり、関節に負担がかかりやすくなります。また、年齢が上がるにつれて、関節の表面を覆う軟骨はすり減っていきます。骨と骨が直接ぶつかることによって、関節周辺の組織が傷ついたり、圧迫されることによって痛みが起きるのです。

 年を取れば仕方がないと、そのままにしていると悪化して、歩いたり、日々の動作に差し支える場合もあります。外出もおっくうになり、寝たきりの原因になりかねないので、早めに食養生でも対策を図りましょう。

 中医学では関節に痛みが現れる多くの場合、湿気と冷えが大きな原因と考えます。水分代謝が悪いと、体内の湿気を吸った筋肉や人体が縮んで動かしづらくなり、痛みが引き起こされます。そのため、梅雨は最も関節痛が悪化しやすい季節。ひざや足首に水がたまったり、むくみが現れるケースもあります。また、冷えたり、気温が激しく上下した場合も、筋肉が縮まったり、収縮率が大きく変動して痛みが出やすくなります。

 改善のためには、体内の湿気を払い、体を温める食材を取り入れることが大切です。また、中医学で筋骨をつかさどる臓器「腎」の働きを高めることもポイントになります。

 おすすめは、いまが旬のサクランボ。「風湿」という体内の余分な湿気を払う優れた効能があり、梅雨どきの体調維持に欠かせないフルーツなのです。そして、まさに湿度が高いときに引き起こされる関節の痛み、こわばり、麻痺に威力を発揮するとされています。リウマチ、むくみの改善にも役立ちます。

 また、体を温める効果も大。じつはフルーツはどちらかというと、体を冷やすものが多く、サクランボは貴重な「冷え改善フルーツ」でもあります。

 さらに、腎の働きを高めて老化によるトラブル対策にもおすすめ。人間のエネルギー源である気を補う作用も高く、滋養強壮、疲労回復にも効果的です。

 愛らしい姿からは想像できないほど健康に役立つサクランボは、美容にもうれしいフルーツで、美肌によいとして古来「美容薬膳」によく使われます。70歳を過ぎても10代の肌の美しさを保っていたという西太后も、愛食していたそうです。

 サクランボの関節痛改善効果を高めるには筋骨のパワーをアップするココナツ、ブドウを組み合わせるとよいでしょう。

 湿気を払い、体を温めるサクランボに、腎の働きを高めて筋骨を強化するブドウ、中医学で「強筋骨」という効能を持つココナツを組み合わせたレシピ。ナタデココとグレープジュースで手軽に完成します。サクランボとナタデココのプリッ、コリッ食感が楽しいデザートです。

■サクランボ高齢レシピ


サクランボとナタデココのグレープ風味

【材料】2人分
●サクランボ  10粒
●ナタデココ  2分の1カップ
●グレープジュース  2分の1カップ
●ハチミツ   適量

【作り方】

 サクランボとナタデココを器に盛り、ハチミツを混ぜたグレープジュースをかける。

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池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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