絶対に熱中症にならないために…こまめな水分補給にプラスしたい「3つのポイント」

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 猛烈な暑さだ。熱中症で救急搬送される人は、かなりの数にのぼる。熱中症で倒れないために、いま私たちは何をすべきか。

■若者が熱中症で重篤化する理由

 連日のようにニュースで熱中症が取り上げられ、「こまめな水分補給を」と専門家が呼びかけている。それなのに、なぜ、これほどまでに多くの人が熱中症で救急搬送されるのか。

「熱中症を遠い存在と思い、自分だけはならないという過信があるのではないか。それが落とし穴になり、気がついた時には熱中症で体が動かない状態になっている」

 こう指摘するのは、熱中症対策に詳しい済生会横浜市東部病院患者支援センター長・栄養部部長の谷口英喜医師。熱中症は、体力がある・なしに関係なく、また年齢に関係なく、誰にでも起こる。

「もちろん、乳幼児や高齢者、糖尿病など持病がある人の方がなりやすい。しかし健康で若い人は、高齢者より体力がある分、無理をしがち。また熱中症の初期症状の段階ではいつもと違うと感じても、『これくらいなら』と我慢してしまう。周囲が気づいた段階では、すでに重篤化の段階に至っていることもあるのです」(谷口医師=以下同)

■バーベキューは危険

 東京都在住の男性は、最高気温が35度を超えた某日、スポーツジムの仲間と正午から庭でバーベキューをした。日頃から体を鍛えている面々で、酒をよく飲み、飲むと体を動かしたくなる。その日もビール片手に、大汗をかきながら音楽にのって踊り、跳んだりはねたりしていたところ、普段は人一倍元気な30代男性が頭痛と吐き気を訴え、次第にぐったりして力が入らない状態になった。たまたますぐ近くに病院があり、急いで担ぎ込んだところ、熱中症と診断された。

「熱中症を考えるなら、アルコールを飲んだ状態での酷暑の中、屋外でバーベキューは論外。気温の高さに加え、アルコールは体内の水分を奪い、かつ体温を上げる。そのために、熱中症のリスクが上がるのです。さらに、跳んだりはねたりと体を動かせば、スポーツをしているのと同様ですから体温は一層上がり、汗もかきます」

 バーベキューだけではない。祭り、音楽フェス、盆踊り、花火大会、海水浴など、夏ならではのイベントは、熱中症のリスクと隣り合わせだ。

「高齢者では、日常でも熱中症を起こすリスクがある。一方、健康な人の場合、日常の場面ではあまり熱中症を起こさず、非日常、つまりなんらかのイベント時に熱中症を起こす。油断している分、重篤化しやすい面もある。この暑さの中、非日常を楽しむなら、十分過ぎるほど対策を講じるべきです」

 こまめな水分摂取は基本。ちなみに“こまめな”というのは、「日常」では最低でも1時間に1回、「非日常」では10分に1回くらいを目安にする。

 基本を押さえた上で、次の点を実践したい。

 まず、非日常に向けて、①日常では食事を3食取り、睡眠時間を十分に確保し、規則正しい生活を心がける。

「食事から取れる水分量はかなりのもの。睡眠は体温コントロールの機能を正常に保つ上で大切です。そして、日常の中に自分の体の調子をチェックするバロメーターを見つけておくといい。私の場合は食欲がそうで、食欲が落ちると体が弱っており、熱中症になりやすい状態。そういう時は、予定している“非日常”を見送ることもあります」

 次に、「こまめな水分摂取」に加え、②日傘、扇子、携帯用扇風機、ネッククーラーなどの冷却グッズを活用する。風速1メートル/秒の風を当てるだけで、体感温度が1度下がるといわれている。

 さらに、③天気予報をチェックし、熱中症警戒アラートが出ている時は、できるなら外出は避ける。

「どうしても非日常であるイベントに参加したいというなら、もしもの時に備え、脱水症のための食事療法に使う経口補水液を用意するようにしてください。市販されています」

 熱中症が、命を奪う病気であることをしっかり認識し、行動を。

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