いつも、喉が詰まった感じがする。何かひっかかる感じがして気になって仕方ない……。喉に違和感がある状態が長く続く疾患を「咽喉頭異常感症」といいます。副鼻腔炎、喉頭炎などの炎症、アレルギー、風邪などその原因はさまざまですが、ストレスやうつなど精神面の不調から引き起こされるケースも多く見られます。この場合、食事のときにはあまり症状がなく、何もしていないときに強く感じるという特徴があります。
シニアの場合、そもそも加齢によって、喉が渇きやすい、モノをのみ込みづらいといった症状が増えるために喉に違和感を覚えやすい傾向が見られます。不快な症状は日々の生活に支障を来します。早めに食養生で改善を図りましょう。
中医学において喉のつかえは、ストレスによって気の流れが滞っている「気滞」の状態と考えます。気の巡りは西洋医学でいう自律神経に重なり、そのコントロールがうまくいかずに精神不安定になったり、イライラしたり怒りっぽくなるのです。とりわけ、ストレスによって気の巡りが悪くなっているサインとされるのが、「梅核気」という状態。これはまさに喉のつかえのこと。「梅の種が喉に詰まった」かのように喉から胸に異物感がある場合は、ストレスによる体への負担が相当大きくなっていると考えたほうがよいでしょう。改善のためには、気の巡りをスムーズにしてリラックスさせてくれる食材を取り入れることが大切です。
おすすめはミント。滞った気を巡らせてストレスを解消する働きがあります。「薄荷」という名前で生薬としても用いられるほど、その効果は大。とくに体の上部に作用するという特徴があり、イライラして頭に血が上っているようなときは、気分のクールダウンに大変役立ちます。また、目の充血、鼻づまり、喉の痛みや腫れといった「体の上部トラブル」にも威力を発揮します。ミントは体の余分な熱を鎮める働きが高いため、風邪の発熱時にもおすすめ。そして、夏バテ対策としても有効な食材です。厳しい残暑を乗り切るために、いまの時季には積極的に取り入れることをおすすめします。
ミントを手軽に取り入れるならハーブティーが便利ですが、おおむねスーパーで生のものが販売されているのでこちらも活用してみましょう。スイーツに添えたり、お湯を注いでフレッシュミントティーにするのもおすすめです。
ミントというとお菓子のイメージが強いかもしれませんが、東南アジアや地中海沿岸、中近東などのエリアでは料理に多用されます。サラダにしたり、肉や魚と組み合わせると清涼感のある味わいに仕上がるので、ぜひトライしてみてください。
ミントの喉のつかえを改善する効果を高めるには、同様に気の巡りをよくする働きがある柑橘類、セロリ、パセリなどと組み合わせるとよいでしょう。
■ミント高齢薬膳レシピ
「オレンジとミント、生ハムのサラダ」
気の巡りを改善するミント、オレンジを組み合わせたサラダ。清涼感があるミントが生きた爽やかな味わいで、冷えた白ワインのお供にもぴったりの夏らしいサラダです。
【材料】2人分
●オレンジ 1個
●生ハム 40グラム
●ベビーリーフ 1パック
●ミント 適量
●ドレッシング(白ワインビネガー・オリーブオイル=各大さじ2、レモン汁=大さじ1、塩=小さじ1、こしょう=適量)
【作り方】
器に食べやすくカットしたオレンジ、生ハム、ベビーリーフ、ミントを盛りつけ、混ぜ合わせたドレッシングをかける。
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