健康長寿に役立つ高齢薬膳

【カブ】お腹を強くして消化を助け胃のトラブルに威力を発揮

ゆず香るカブおろしそば
ゆず香るカブおろしそば(提供写真)

 忘年会シーズン。ほどほどにしようと思っていても、つい食べ過ぎる日々が続いて胃がつらい……。食べ過ぎによる胃痛や胃もたれが気になる年末年始は薬膳で胃のケアに努めましょう。

 胃は食べ物を一時的に蓄えて吸収しやすい形にして、十二指腸へと送り出します。健康な状態の胃であれば、ほぼ数時間で通過しますが、自分の消化能力を超えて多く食べてしまうと、消化しきれずに食べ物が胃に残ります、結果、消化不良によって胃が痛んだり、もたれてしまうのです。揚げ物など脂質の多い食べ物も、胃を通過するのに時間がかかり、不調を引き起こす原因になります。

 そもそも、シニアは加齢によって胃の消化機能が低下しています。蠕動運動によって十二指腸に送り出す働きが衰え、胃に食べ物がとどまりやすく胃もたれしがち。また、胃の粘膜を守る血流も弱くなっているので、胃の防御作用が機能しないためにトラブルを引き起こしやすいのです。

 とくに冬は、寒さによって胃が冷えやすく、消化機能が落ちやすい季節です。栄養摂取に重要な働きを持つ胃を整える食材を早めに取り入れて、年末を元気に乗り切りましょう。

 中医学において、食べ過ぎによる胃の不調は、胃の消化機能をアップさせる食材を取り入れることが重要だとされています。

 おすすめはカブ。胃のトラブルに役立ち、お腹を強くして消化を助け、胃の痛みや胃もたれに威力を発揮します。

 また、体の上部に上がった「気」を下ろす作用があるので、吐き気、胃に酸っぱいものがこみ上げる、ゲップが出る……といったときにもおすすめです。胃を温める働きも高いので、冷たい物の飲み過ぎや食べ過ぎで胃が痛むときにもよい野菜です。

 さらにカブには、咳を止めたり、喉の痛みを改善する効能もあります。この季節はぜひ積極的に取り入れることをおすすめします。

 カブは浅漬け、サラダ、汁物だけではなく、大根おろしならぬ「カブおろし」にするのもよし。焼き魚やソテーした肉に添えたり、冷ややっこにのせる、鍋に入れるなど、大根おろし同様に使ってみましょう。

 食べ過ぎによる胃痛や胃もたれの改善効果を高めるには、カブと同じく消化能力を高める働きがあるキャベツ、ゆず、きんかん、そばなどと組み合わせるとよいでしょう。 

■カブ高齢薬膳レシピ


ゆず香るカブおろしそば

 消化能力をアップする、カブ、そば、ゆずを組み合わせたレシピ。甘みがあり、ホッとするやさしい味わいのカブおろしと、さわやかなゆずの風味が効いたそばは上品な味わいです。

【材料】2人分
●そば  2玉
●カブ  2個
●めんつゆ(2倍濃縮)  1カップ
●カブの葉、ゆずの皮  適量

【作り方】
 カブは皮をむき、すりおろす。葉は塩を加えた熱湯で茹でて水にとり、水気をしぼってザク切りにする。そばは表示通りに茹でておく。鍋にめんつゆ、水2カップを入れて温めて器に注いでそばを盛り、すりおろしたカブ、カブの葉をのせ、千切りにしたゆずの皮をのせる。

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池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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