鼻水が止まらなくてつらい……でも、薬を飲むと眠くなるし、目や喉が渇いて困る……。冬場は昼と夜、あるいは家と外の急激な温度変化による「寒暖差アレルギー」で、鼻水が出やすくなります。鼻粘膜の血管が広がって腫れることで引き起こされ、水っぽくサラサラの鼻水があふれ出す特徴があります。
また、シニアの場合、「老人性鼻炎」による鼻水も多くみられます。鼻粘膜には、呼吸の際に鼻を通過する空気の温度や湿度を調節する働きがありますが、加齢によってその機能は低下します。若い頃は、弾力があった粘膜が徐々に萎縮し、鼻から吸った空気の温度を上げることができなくなり、鼻腔内で冷えることによって水分が結露した状態になり、鼻水になってしまうのです。こちらもサラサラした鼻水で、とくに寝起きや朝方に多く症状が現れ、冬や食事の時に悪化しやすい特徴があります。
たかが鼻水といっても、不快感が続き生活の質を大きく下げる原因になります。食養生で対策を講じましょう。
中医学において、鼻水は体内に余分な水がたまり、鼻からあふれ出ると考えます。また、透明で水っぽくサラサラの鼻水は、体が冷えていることが大きな原因。よって、体を温めて過剰な水分を発散することが対策となります。
おすすめはクローブ。カレーや肉の煮込み料理によく使われるスパイスです。インドネシアのモルッカ諸島原産のフトモモ科チョウジノキのつぼみを乾燥させたもので、クギ状の形をしています。中国では丁子と呼ばれ、体を温める優れた働きがあり生薬としても使われています。冬には積極的に取り入れたいスパイスです。
お腹を温めて、胃腸の消化機能を高める効果も大。冷えによる胃の痛み、食欲不振、吐き気、下痢にも威力を発揮します。虚弱体質の人は、おおむね胃が弱く冷えているケースが多いため、日ごろからクローブを取り入れるといいでしょう。
カレーやシチューなどに加えると、重厚感のあるスパイシーな香りでグッと本格的な味わいになります。また、バニラのような甘く濃厚な香りを生かして焼きリンゴに使ったり、紅茶に入れるのもおすすめ。焼酎のお湯割りやホット赤ワインに加えると、おいしく温まる薬膳ドリンクになります。
クローブの鼻水改善効果を高めるには、同じく体を温める効能がある、ネギ、ショウガなどを組み合わせるといいでしょう。体内の余分な水分を排出する豆類をプラスするとより効果が高まります。 (水曜掲載)
体を温めるクローブ、ネギ、ショウガ、余分な水分を排出する黒豆を使った煮物。スパイシーでコクのある中華風煮物は、汁ごとごはんにかけてもおいしくいただけます。
■クローブ高齢薬膳レシピ
鶏肉と黒豆のクローブ煮
【材料】2人分
●鶏もも肉 200グラム
●黒豆水煮 60グラム
●ネギ 4分の1本
●ショウガ 1かけ
●クローブ(ホール) 4個
●A(しょうゆ・酒=大さじ1、オイスターソース=小さじ1)
●サラダ油、塩、こしょう 適量
●クコの実 適量
【作り方】
鍋に油を熱し、みじん切りにしたネギ、ショウガを炒めて香りが出たら、ひと口大に切って、塩、こしょうをした鶏肉、黒豆を加えて炒める。水1カップ、A、クローブを加え15分煮て器に盛り、クコの実を散らす。
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