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米国のブラックフライデーにウェルネス&ビューティ商品が売れた理由

ウェルネス&ビューティ分野の商品の売れ行きが好調(C)iStock
ウェルネス&ビューティ分野の商品の売れ行きが好調(C)iStock

 クリスマスショッピングのシーズン、今年大幅な伸びを見せ注目されているのが、ウェルネス&ビューティ分野の商品です。

 感謝祭からブラック・フライデーを経て、年末までのクリスマス商戦の売上は、来年の経済の行方を占う重要な指標となっています。その皮切りとなる、サイバーマンデーまでの5日間の総売り上げは、記録的な伸びを見せました。 

 しかし、それも高いインフレ率を差し引くとずっと控えめな数字になります。また多くの消費者がこの時期に集中する大幅な値引き品を買っていること、さらに分割・後払いシステムを利用するケースが激増したことなどから、必ずしも今後の先行きが明るいわけではないと専門家は指摘します。

 そんな中で、ブラックフライデーの売れ筋は例年通り衣料品、アクセサリー、おもちゃ、ギフトカード、書籍、ビデオゲームなどでした。そこに今年初めて食い込んだのが、ウェルネス&ビューティ商品です。特に、実店舗でのウェルネス系商品の売上は、昨年に比べ13.3%増と、大幅な伸びを見せました。

 ウェルネス関連では、ポータブルのマッサージ器、ヘルシーなジュースが手軽に作れる小型ブレンダー、ウォーターピックなどが注目。ビューティではメークからスキンケア商品までが、プチプラからデパコスまで幅広く売れたということです。

 こうした商品の売り上げが伸びたのは、消費者が現実逃避の1つとして購入したからと見られています。世界が厳しい状況に直面し、自身の経済状況も良くない中、手頃な価格のウェルネス商品でセルフケアすることが、リラックスしたりメンタルを保つために重要だというのです。この傾向は男女問わず共通しています。またメークも気分を明るくするために必要不可欠であり、今やウェルネスの一環として考えられていると、専門家は述べています。 

 かつて、経済的に苦境に立たされている時の女性の購買力は「リップスティック指数」と呼ばれていました。
長引くインフレや債務の増加など、まだまだアメリカ経済に逆風が吹く中、ウェルネス&ビューティ商品は、今後さらに注目を集めそうです。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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