日本では子供たちや女性の間で、市販薬の過剰摂取が問題になっています。その多くは自傷や自死を目的としていると報道されていますが、アメリカでも同じ問題が起きています。
CDCアメリカ疾病予防管理センターが行なったデータ分析によれば、薬の過剰摂取による自傷が疑われるケースは、パンデミック前後の2019年から2021年にかけて10~19歳で30%増加しています。
一方、オハイオ州中央毒物センターの調べでも、薬物の過剰摂取による自殺未遂の頻度が、10歳から24歳の若者の間で過去10年間で2倍以上に増えたことがわかっています。中でも女性は3倍以上に急増しました。
また2000年以降、意図的な過剰摂取が疑われた160万件のうち、7割以上を若い女性と女児が占めています。そのうち34万人が治療を必要とし、1400人が亡くなりました。
同じ研究者らが行なった薬剤の分析によると、最も多く使われたのは市販の鎮痛剤で、アセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリンでした。また10歳から15歳では、注意欠陥/多動性障害の治療薬の過剰摂取の割合が高いこともわかりました。
専門家は、「薬物の種類というよりも、アクセスの問題。どんな薬であっても、誤用されたり乱用されたりする可能性がある」とコメント。
アメリカでは若者の死因のうち、自殺は10~24歳で2位です。日本では20代の死因の1位となっています。
薬剤師のための雑誌「USファーマシスト」は「自殺ホットラインの番号を目立つように表示したり、自殺予防や精神衛生について子どもにどう話せばいいか、情報提供することも重要」と述べています。
アメリカの自殺ホットラインの番号は「988」で、全米どこからでもかけることができます。
なお、日本のホットラインはこのリンクから参照できます。
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■厚生労働省のホームページで紹介している主な悩み相談窓口
▽いのちの電話
℡0570・783・556
(午前10時~午後10時)
℡0120・783・556
(午後4~9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▽こころの健康相談統一ダイヤル
℡0570・064・556
(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▽よりそいホットライン
℡0120・279・338(24時間対応)
岩手、宮城、福島各県からは℡0120・279・226(24時間対応)
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