「自死・自殺に向き合う僧侶の会」代表が語る…死んではいけない

東京・三田の正山寺(提供写真)

「生きている価値が見いだせないというか……。年に何回か、もう死んでもいいのかなと思うことがあります」

 東京・練馬区内に住む年金生活者のAさん(71歳)が、目を泳がせながらこんな言葉を漏らす。

 国立大の教育学部卒というエリートのAさんがうつ病を発症したのは数年前。自営業が破綻し、妻も自宅から姿を消していた。子供はいない。現在も毎日、抗うつ剤を服用し、医薬治療を継続しているが、改善は芳しくない。

 相変わらず引きこもりの生活で、玄関のドアは閉ざされたままだ。訪ねてくる親族や友人もいない。

 生きることに疲れ果て、自死をも考えるAさんのような人々を対象に、「あなたのお話 お聴きします」というボランティア組織、「自死・自殺に向き合う僧侶の会」がある。東京、名古屋、大阪、広島など都市部を中心にネットワークを広げ、電話、手紙、オンラインなどで生きることに苦悩している人々に寄り添う。

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