そううつ病は速やかな診断が必要…自殺リスクが一般の20~30倍

双極症には速やかな診断、治療が必要(C)日刊ゲンダイ

「そう」と「うつ」を繰り返す双極症(そううつ病)は、診断が非常に難しい。欧米では、「初診で8割が誤診」「正しい診断まで平均で8年、3分の1は10年以上かかる」と報告される。

「日本ではもっと見過ごされているのでは」と警鐘を鳴らすのは、東京歯科大学精神科の宗未来准教授。「本人と家族のための双極症サバイバルガイド」(日本評論社)の翻訳者で、日本うつ病学会から2023年に出された双極症の診療ガイドラインの執筆にも携わった。

 双極症は「そう」と「うつ」を繰り返すものの、均等には現れない。患者の大半はうつで発症し、圧倒的にうつの期間が長いのだ。

「平均すれば、人生の半分という長期間をうつで過ごすと報告され、軽いそう状態がほんの数日、一度だけ、というケースすら珍しくない」

 双極症には、そう(いわゆるハイ状態)の程度が生活に支障を生じるほど激しい「Ⅰ型」と、そうの軽い「Ⅱ型」がある。「Ⅱ型」の軽そうは、親しい人がよくよく観察して気づかれる程度のことも。うつの期間が長く、そうの程度がごく軽ければ、精神科医でも、双極症と診断するのは簡単ではない。

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