おできがいつまでも治らない。腫れてズキズキ痛む……。命に関るわけではないけれど、しつこい痛みが続くおできは不快なものです。おできとは、毛穴に細菌が入り込み、周辺の組織に炎症を起こして化膿したものです。炎症部分の大きさによって、「毛包炎」、「せつ」、「よう」の3つに分けられます。
毛包炎は毛穴から細菌が入り、毛包の浅い部分か炎症を起こして小さな嚢胞ができたもの。さらに毛包炎が進行して、細菌が皮膚の深めのところにもいる症状が「せつ」と呼ばれ、これが一般的におできといわれる状態です。首、背中、お尻、太ももなどにできやすく、主に黄色ブドウ球菌が原因となって悪化し、化膿して膿がたまり、腫れて赤く盛り上がります。
せつが拡大し、毛包や総合組織、皮下脂肪まで広範囲に化膿した状態は「よう」とされ、痛みがひどくなり、発熱、リンパ節が腫れることもあります。とくにシニアは免疫力の低下から細菌に感染しやすくなり、おできができたり悪化しやすい傾向があります。この状態になると、なかなか治らずに切開が必要になるケースもあるため、「たかが、おでき」と思わずに早めのケアを心がけましょう。
中医学において、おできの対処法は炎症を鎮め、解毒作用がある食材を取り入れることが大切とされています。おすすめは小豆。赤飯やあんこでなじみが深い小豆は、「赤大豆」の名前で生薬としても使われるほど薬効の高い食材です。
体内に溜まった毒素を排出するとともに、余分な熱を取り去る働きが高く、膿のあるおでき、吹き出もの、かゆみを伴う湿疹など皮膚トラブルに優れた威力を発揮します。
さらに、利尿作用にも優れています。水分代謝をアップしてむくみの改善に役立ちますし、二日酔いにも効果大。解毒と利尿作用ですっきりとアルコールを体内から排出するのです。
ただし、小豆の効能を十分に取り入れれるためには「甘くしない」こと。砂糖をたっぷり加えたあんこやお汁粉ではなく、豆そのもの、あるいはゆで汁を利用することがポイントになります。
砂糖を加えずにゆでた小豆は、ほかの豆と同様、料理に使うと美味しくいただけます。また、ゆで汁は効能たっぷりのエキスです。塩少々を加え、お茶代わりに飲むとよいでしょう。
小豆のおでき改善効果を高めるには、同じく解毒・消炎作用のある海藻類、サトイモ、黒きくらげなどと組み合わせるとよいでしょう。
■小豆高齢薬膳レシピ
小豆とひじきのサラダ
解毒・消炎作用の高い小豆とひじきを組み合わせたサラダ。白ワインビネガーをきかせたドレッシングで、ワインのおともにもぴったりの味わい。しばらくなじませておくと、より美味しくいただけます。
【材料】2人分
・ゆで小豆 120g
・乾燥ひじき(水で戻しさっとゆでる) 5g
・ツナ缶(小) 1缶
・クコの実 大さじ2
・A(オリーブオイル・白ワインビネガー=各大さじ2、レモン汁=大さじ1、にんにくのすりおろし=少々、塩・こしょう=適量)
【作り方】
適量の乾燥小豆を鍋に入れてたっぷりの水を加えて熱し、沸騰したら2~3分ゆでていったんゆでこぼす。再び水を入れて40分ほど歯ごたえが残るくらいまで煮る。ボウルにゆで小豆、ひじき、ツナ缶、クコの実を入れ、混ぜ合わせたAを加えて全体を混ぜ合わせる。
健康長寿に役立つ高齢薬膳