健康長寿に役立つ高齢薬膳

【ウド】根は生薬として使われ、関節の痛みに威力を発揮

ウドとホタルイカのモダン酢味噌あえ
ウドとホタルイカのモダン酢味噌あえ(C)日刊ゲンダイ

 歩くたびに膝が痛み、だんだん歩くのもおっくうに……。シニアが悩まされやすいのが「変形性膝関節症」です。膝関節の軟骨の質が低下して次第にすり減り、変形を来すことで痛みや炎症を起こす病気です。

 原因の多くは筋肉の衰えにあります。老化によって膝関節を支える筋力が低下すると、重みを受ける部位が不安定になります。その結果、関節の内側に負荷が集中し、その部分の軟骨の摩耗が加速してしまうのです。

 症状としては膝のこわばり、痛み、変形が現れます。初期の段階で見られるのは、起床時の膝のこわばりです。起き上がったり、歩き出す際に膝が重くて動かしにくい、鈍い痛みといった症状が生じます。

 進行すると、膝が腫れて熱を持つようになります。少し休憩すれば治まっていた痛みがなかなか消えなくなり、正座、階段の上り下りが困難になります。重症化すると普通に歩くことも難しくなり、日常生活に支障を来すケースもあるのです。

 体を動かすことがつらくなると、外出の機会も減って認知症の原因になりかねません。早めに医療機関で治療を行うとともに、食養生で症状の改善と進行の防止に努めましょう。

 中医学において、関節の痛みに威力を発揮するとされているのが、いまが旬のウド。独特の香りと歯ごたえが魅力の「春の山菜」は、根の部分は「独活」の名前で生薬として使われています。膝をはじめとする関節の痛みを緩和する優れた作用があり、腰痛、肩こり、神経痛、リウマチの痛み止めにも高い効果があるのです。

 また、発汗・解熱作用もあり、悪寒、頭痛、発熱など風邪のひき始めに効果的。体内の余分な水分を取り除く作用もあるので、むくみの改善にも役立ちます。

 さらに、春の山菜には「解毒」を促す作用もあります。春は気温の上昇とともに体内のエネルギーも高まります。身体のバランスが崩れ、頭痛、目まい、のぼせ、肌荒れ、吹き出もの、イライラといった不調を引き起こしやすいのです。ウドを取り入れることで、春の体調維持にも大いに役立ちます。

 和食のイメージが強いウドですが、サラダやマリネ、パスタなどに使っても美味しくいただけます。春の食卓にさまざまなアレンジで登場させてみましょう。

 また、変形性膝関節症の症状改善効果を高めるには、中医学で足腰をつかさどる臓器「腎」、筋肉をつかさどる「肝」の働きを強める食材も併せて取り入れることがおすすめ。イカ、ホタテ、黒ごま、クコの実などを組み合わせるとよいでしょう。

■ウド高齢薬膳レシピ

ウドとホタルイカのモダン酢味噌あえ

 膝の痛み改善によいウドと、腎と肝の機能を高めるホタルイカ、クコの実を組み合わせたレシピ。ヨーグルトを使った「洋風酢味噌」であえるとパンにも合う味わいに。ワインのおともにもぴったりです。

【材料】2人分
●ウド 1/2本
●ホタルイカ 50g
●パセリのみじん切り 適量
●クコの実 適量
●A(ヨーグルト、粒マスタード=各大さじ1、味噌、オリーブオイル、レモン汁=各大さじ1/2、にんにくすりおろし=少々)

【作り方】
 ウドは皮をむき、約4センチ長の短冊切りにして3等分に切る。酢水に10分程度さらし、水気を切る。ボウルにウドとホタルイカを入れ、混ぜ合わせたAを加えてあえる。器に盛りパセリとクコの実を散らす。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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