家計簿を見れば病気がわかる

根野菜を買わない県は高血圧患者が多い

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 都道府県の「標準世帯の平均野菜購入量」と「高血圧・糖尿病の受療率」(人口10万人当たり・1日当たり医者にかかる患者数)には、それなりの相関関係があることが分かりました。

 しかし、ひと口に野菜といっても種類は豊富。実際、総務省の家計調査では、代表的な二十数種類の野菜の購入量が調べられています。それらは「葉茎野菜」(キャベツ、ホウレンソウ、白菜、ブロッコリーなど)、「根野菜」(イモ類、レンコン、ニンジン、大根など)、「その他の野菜」(カボチャ、ナス、キュウリ、トマトなど)の3つに大別されます。このうちどれが高血圧の予防に効果がありそうなのか、4分割法で調べてみました(表)。

 いずれの野菜も、購入量が少ない県は受療率が高い、つまり高血圧患者が多い傾向にあり、逆に購入量が多い県は受療率が低い(患者が少ない)傾向が見られます。根野菜でもっともその傾向が強く、葉茎野菜、その他の野菜の順です。

 根野菜を多く買っているのは新潟、京都、千葉、静岡、岩手、神奈川、埼玉。1世帯当たり年間で70キロ以上買っています。逆に少ないのは高知、福井、岡山、愛媛、沖縄、宮崎、岐阜の順。年間購入量は50キロ台にとどまっています。ちなみに全国平均は約64キロです。

 野菜による糖尿病予防効果は、高血圧と比べて弱めですが、ある程度の効果が期待できそうです。根野菜とその他の野菜は、取らないよりは取ったほうがいいが、全国平均以上に取っても、予防効果は大して期待できそうにありません。葉茎野菜のカロリーが低いのに対し、根野菜やその他の野菜には、カロリーが豊富なものが多いからかもしれません。

 葉茎野菜を多く買っているのは秋田、神奈川、千葉、新潟、山形、京都、埼玉など(年間購入量67~75キロ)。少ないのは沖縄、福井、愛媛、山口、岡山、熊本、宮崎など(49~55キロ)。葉茎野菜の全国平均は約62キロ(その他の野菜は約49キロ)。

 普段の食事で根野菜が少ないと感じる人は、高血圧に要注意。また葉茎野菜が足りない人は、糖尿病に気をつけてください。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。