スマホが医療を変える

セカンドオピニオンに活用

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 スマートフォンでセカンドオピニオン相談を行うサービスが始まろうとしています。実際に、ビジネスとしてスタートさせた会社も現れ始めています。

 医療の中で、セカンドオピニオン相談は「自由診療」扱いになっています。ですから、医師が会社をつくってサービスを始めても、なんら問題はありませんし、スマホなど、ネット越しに行っても構わないわけです。

 ただ、大学病院などは「セカンドオピニオン外来」を開設しています。もちろん患者と医師が相対して行います。病院が用意したリストから、希望する医師を指名します。料金は、1時間当たり1万~3万円といったところ。相談を受けてくれる医師は、通常勤務と掛け持ちですから、日時の調整が必要になります。

 スマホでの相談は、料金的にはだいぶ割高になります。しかし、わざわざ遠方に行く手間や交通費などを考慮すると、むしろお釣りが出る場合もあるでしょう。サービス会社が用意している医師の中から、相談相手を選びます。

 まだ始まったばかりのサービスですが、人気のある医師をどれだけ集められるかが、“勝負”の決め手になりそうです。

■提供される診療情報の電子化にはまだ時間が

 セカンドオピニオン相談を受けるためには、患者が自分の医療情報を用意する必要があります。いまかかっている病院に請求して、紹介状と一緒に出してもらうのです。カルテや検査結果、画像などですが、タダではありません。実は健康保険の中に「診療情報提供」という項目があり、1回当たり一律5000円と決まっているからです。サラリーマンは3割負担なので、窓口で支払う金額は1500円になります。診療情報提供には健康保険が利いて、それを使ってのセカンドオピニオン相談には利かないのですから、なんともちぐはぐな制度ではあります。

 診療情報は「紙」で渡されます。画像などは、重要と思われるもの数点をフィルムに焼き付けて渡すことになっています。オンラインやCDーROMなどでの提供は、いまのところ認められていません。そのため、スマホの相談でも、病院からもらった診療情報を事前に郵送することになるはずです。スマホ経由でデジタル情報をサッと送れるようになるのは、まだ先の話になりそうです。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。