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出生率ワースト3入り 中央線沿線は子づくりには不向き?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)は、「合計特殊出生率」が全国でも最も低い地域です。

 市区町村レベルの出生率は、統計的なゆらぎを防ぐため5年間の平均を取り、さらにベイズ推定という統計手法を行うのが一般的です。今回は、平成20年から24年の推計値を使い、市区に限ってベスト10とワースト10を〈表〉にまとめました。

 首都圏のベスト1は館山市の1.58、2位が戸田市の1.55というように、都心から離れた地域のほうが出生率が高い傾向が見られます。千葉県では房総半島の太平洋に面した一帯で、出生率が高めです。豊かな自然が子づくり・子育てに適しているのでしょう。ただ、都心への通勤に時間がかかるのが難点です。

 埼玉県では、秩父市など内陸部と、さいたま市から南、荒川を隔てて東京都と隣接するエリアの出生率が高くなっています。秩父から都心は遠距離通勤ですが、さいたま市などからは通勤しやすく、都内と比べて住宅費が安いなど、若い夫婦が家庭を築くのに適した地域です。ただし、保育園探しに苦労するかもしれません。

 東京都からは、羽村市が7位にランクインしています。

 またベスト10には入っていませんが、東村山市(1.47)、武蔵村山市(1.45)、あきる野市(1・44)など、西東京の埼玉県寄りの自治体の多くが、比較的高い数字を示しています。
 
 これらの自治体は、東京都の中では「いなか者」扱いを受けてきました。しかし少なくとも、出産や子育てに関しては、都心よりも恵まれた環境です。

 ワースト10に目を移すと、すべて東京都の自治体で占められています。ワースト1の豊島区は、近年「豊島区消滅説」がささやかれるなど、人口の将来推計に不安を抱えています。都内(23区)に限れば、江戸川区(1.35)、葛飾区(1.31)、足立区(1.30)など下町エリアの出生率が少しマシな傾向が見られます。しかし新宿区、中野区、杉並区(高円寺から西荻窪)、武蔵野市(吉祥寺、武蔵境)といった中央線沿線の出生率は1を下回っています。三鷹市(1.04)、小金井市(1.12)、国分寺市(1.07)、国立市(1・13)は、辛うじて1を超えていますが、五十歩百歩です。中央線沿線は子づくり・子育てに不向きなのかもしれません。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。