これまでの健康常識は捨てていい

コレステロール値には影響せず 1日の卵の“適量”は何個?

毎日の栄養補給としては1日1個が適量
毎日の栄養補給としては1日1個が適量(C)日刊ゲンダイ

「かつては、鶏卵を2個食べると1日のコレステロール摂取目標量をオーバーすることが危惧されていました。しかし近年、食事から取るコレステロールは血中コレステロール値に影響しないことがわかったのです」

 こう言うのは、国際医療福祉大学熱海病院・〆谷直人医師。卵への“健康知識”が変わったのは2015年のことです。「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)からはコレステロール摂取目標量の記載がなくなり、日本動脈硬化学会は「食事で体内のコレステロール値は変わらない」と発表しました。

 コレステロールには細胞壁や血管を丈夫にする働きがあります。不足すると死亡リスクが高まるので、必要量の約7~8割が肝臓で毎日合成されています。食事から多くのコレステロールを取れば、その分合成される量が減るので、過剰になる心配はありません。

「高齢になると肝機能が低下してコレステロールが作られにくくなります。健康な高齢者はコレステロールを摂取するために、むしろ卵を積極的に食べるべきです」

 卵は良質なタンパク質をはじめ、ビタミン、ミネラルをバランスよく含む優秀な栄養食材です。生活習慣病の予防・改善に効果があるとされる機能性成分も豊富です。

「ただし、制限する必要がないとはいえ、1日3、4個のペースで食べ続けるのはおすすめできません。毎日の栄養補給としては、1日1個くらいが適量です」

 一方、すでに高コレステロール血症の人、もしくは親が高コレステロール血症の人は制限が必要な場合もあるため、医師の指示に従ってください。コレステロール制限により血中コレステロール値が下がるというエビデンスはありませんが、個人差があり、下がる人もいるからです。日本動脈硬化学会は「薬物治療より先に食事制限を行うべき」という見解を示しています。

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