食生活を野菜や果物を中心にする「ローファットダイエット」に変えた女性は、そうでない女性に比べ乳がんによる死亡率が下がったという調査結果が発表され、大きなニュースになっています。
この調査は全米の約5万人の50~70代の女性を対象に1993年にスタートした大規模なもので、そのうち2万人の女性は脂肪の摂取を控え、代わりにもっと野菜や果物を多く食べるというローファットダイエットを8年間続けました。残りの3万人はそれまでの食生活を続け、それを20年にわたりモニターした結果が今回発表されました。
最も注目されたのが乳がんとの関係です。モニター期間中にはどちらのグループからも乳がん患者が出ましたが、ローファットダイエットに変えたグループは、そうでないグループに比べ、乳がんで死亡するリスクが21%低かったことが分かりました。さらに、それ以外の病気で死亡するリスクも15%低かったとのことです。
食べ物と病気の因果関係を、これほどの規模と長期にわたって調査したのは初めて。特に病気を抱える女性にとって、今後の食生活を見直すきっかけになりそうです。
一方で、近年注目され摂取が推奨されているヘルシーな脂肪、魚やオリーブオイルなどとの矛盾をどう考えればいいのかという疑問も生まれています。実際、調査を始めた当時はこうした脂肪のメリットはほとんど知られておらず、「すべての脂肪は敵」という風潮がありました。そこで、死亡リスクを下げているのはローファットそのものではなく、摂取を増やした野菜や果物ではないかと指摘する声も出ています。
しかし今回の研究で最も重要なポイントは、長期にわたる大規模調査で「食生活を少し変えるだけで死亡リスクが大幅に下がる」と証明されたことです。それをもたらしたのが野菜や果物中心の食生活だった点も注目に値すると、専門家はコメントしています。
ニューヨークからお届けします。