健康長寿に役立つ高齢薬膳

【エビ】魚介類の中で最も体を温める効果が高く冷えを改善

桜エビの中華風暖房雑炊
桜エビの中華風暖房雑炊(提供写真)

 年々、冬の寒さが身に染みる……。一段と気温が下がるこの時季、冷えが気になる方も多いのではないでしょうか。

 年齢を重ねると、体が熱をつくる働きが衰え、さらに筋肉が減ることで熱を防御する作用が低下します。また、体温調節機能もうまく働かなくなってくるため、体温が下がると元に戻りづらいことから、シニアは全身が冷えやすくなるのです。

 冷えは万病のもとといいますが、中医学においても、免疫力が落ちて風邪をひきやすくなったり、疲労の原因になるとしています。そして、血液の循環が悪くなることで頭痛、肩凝り、生理痛など「痛み」に関する症状もひどくなりがちです。

 さらに、中医学で老化をつかさどる「腎」は冷えに弱い臓器で、冬は最もその働きが低下します。つまり、冬は一年で一番、老化が進みやすい季節なのです。冷えを解消して、体を温めることはシニアの健やかな体づくりにとって、とても重要なのです。

 冷えを解消するためには、体を温める食材選びが大切です。中医学において、すべての食材は、①体を温める「温熱性」、②体を冷やす「寒涼性」、③どちらでもない「平性」に分けられるとしています。冬はとにかく温熱性の食材をしっかり取って、体を温めること。いわば「食べる暖房食材」を積極的に取り入れましょう。

 おすすめはエビです。その効能は「補腎壮陽」。魚介の中で最も体を温める効果が高く、腎の働きを高める作用もあります。滋養強壮にも優れた効能があり、胃腸の働きを高めるため、食欲増進にも役立ちます。

 エビの体を温める作用をさらに高めるには、同じく「温熱性」の食材と組み合わせるのが効果的です。ショウガ、ネギ、ニラ、カボチャ、タマネギ、牛肉、ニンニク、サンショウなどと一緒に取り入れるとよいでしょう。

 エビは殻をむいたり、背ワタをとったりと、調理に手間がかかる……という人には桜エビが役立ちます。ごはんにふりかけたり、汁ものに使えば、うま味が出ておいしくいただけます。

 栄養学的にカルシウムも豊富なため、骨粗しょう症の予防や治療のためにも、ぜひ積極的に取り入れることをおすすめします。

 また、温熱性の食材を取り入れるとともに、冬は体を冷やすトマト、キュウリ、レタスなどの夏野菜を控えることも大切です。

■エビ高齢薬膳レシピ

桜エビの中華風暖房雑炊

 体を温めるエビ、ショウガ、ネギを使った、体の芯から温まる雑炊。桜エビと市販のカップみそ汁を使えば、手軽に完成します。桜エビのうま味、ごま油の風味でカップみそ汁を使ったとは思えない、コクのある中華風の味わいに仕上がります。

【材料】2人分
●桜エビ 大さじ4
●ショウガのすりおろし 1かけ分
●ニンニクのすりおろし 少々
●ごま油 少々
●刻み小ネギ・白すりごま 適量
●ネギのカップみそ汁  2個
●ごはん 2膳

【作り方】
 鍋にネギのカップみそ汁の具材を入れて水2カップを加えて熱し、ショウガ、ニンニク、ごはんを加えて火が通ったらごま油を振る。器に盛り、白ごまを振って小ネギを散らす。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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