五十肩を徹底解剖する

腱板断裂の手術は全身麻酔で半日仕事 入院は数日から1週間

写真はイメージ
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 50歳のある男性は、仕事で荷物を運んだところ右肩に痛みを覚えました。最初は「五十肩」と軽くみていましたが、改善の傾向がなく精密検査で「腱板断裂」だとわかり、最終的に手術した方がいいと言われました。

 手術は初めての経験、自分や仕事はどうなるのだろう……。

 この男性が感じた疑問と不安。今回は肩手術の話をするときに、皆さんからよく受ける質問をまとめてみます。

【1】全身麻酔をするのですか?

 腱板は肩の深いところにあるので、表面麻酔だけだと痛くてできません。通常、全身麻酔で行います。

【2】全身麻酔で目が覚めないか心配です。

 心配はやまやまですが、大丈夫です。手術に耐えうる体力があるか、前もって一通り健康診断を行います。手術は整形外科医だけでなく専門の麻酔科医と手術室専門の看護師が安全管理します。

 健康診断で問題があれば個別に対策を講じることで手術を行えるかを考えます。

【3】手術は何時間かかるのですか?

 1時間から数時間です。麻酔をかけて手術の準備をするのに約1時間、麻酔を覚まして手術室から出る用意に約1時間かかります。手術室の外で待つご家族からみると3時間から5時間程度、おおよそ半日仕事と考えるとよいです。

【4】入院するのですか?

 一般的には数日から1週間程度の入院をします。術後の状態や施設の状況によって差があります。全身麻酔で手術が無事終わり、麻酔がしっかり覚めて安全が確認できることが最優先です。

 また術後の痛みが落ち着き、自分だけで生活対応できる手応えがつかめるまでは看護師さんがそばにいた方が安心です。

【5】痛くないですか?

 近年では手術後、目が覚めてもまったく痛くなかった、までコントロールできるようになってきました。

 全身麻酔に加え、肩の痛みを感じる神経へのブロック注射を行うこともあります。

 もし術後に目が覚めて痛みが出れば注射や点滴の痛み止めなどを追加できますので、我慢せず医師や看護師にお声がけください。

安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

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