五十肩を徹底解剖する

「腱板断裂」の治療でまず行うのは注射による痛みの鎮静

写真はイメージ

 単なる「五十肩」ではなく、実は肩の腱が切れてしまった腱板断裂による肩の痛み。今回は腱板断裂の治療についてお話しします。

 前々回の本欄で、みなさんが想像しやすい「腱断裂」として、足首のアキレス腱を例に出してみました。

 アキレス腱を切ったときは、通常すぐにギプスで固めたり、手術をして腱を縫ったりします。つまり、腱断裂の治療はまず何よりも腱をつなげることが大事になります。

 アキレス腱は足首を触れるとわかるように、1本の筋で成り立っています。一方、肩の腱板は全部で4本の筋肉の集まり。腱板断裂が1本だった場合、見方を変えれば3本はまだつながっているということになります。

 腱板は複数の腱が協力して働くため、1本が断裂しても残り3本が断裂分を補って働けば、意外と症状なく動いてくれるのが特徴です。団体スポーツのサッカーにおいて、1人の選手が退場になり劣勢になっても決して敗退が決まったわけではありません。残りの選手が団結できれば勝つこともありますね。

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安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

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