認知症を予防する補聴器のすべて

補聴器は小さい方がいい? 「目立つこと」のメリットもある

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 できるだけ目立たない方がいい。お客さまが補聴器を選ぶとき、よく口にする言葉です。

 近ごろの補聴器のカラーバリエーションは以前よりも増えていますが、ベージュやブロンズといった肌になじみが良い色が選ばれがちです。時に自分の髪の毛と同じシルバーを選ばれる方も少なくありません。また目立たぬよう、できるだけ小型なものを購入される傾向があります。

 補聴器の小型化は、高機能、集積化とともに進んでおり、いまでは小指の先ほどの小さなボディーの中に、車の自動運転にも使われる人工知能(AI)が搭載されているほどです。こうした小型化した補聴器は、趣味に仕事にと活動的に過ごす方たちにとっては便利で使いやすいかもしれませんが、果たしてこの小型化はすべての難聴者にとって歓迎されるものなのでしょうか?

 年を重ねた方の中には、手先が不自由になったり、老眼が進んだりして、つまんで耳に装着することが難しく、ましてや落とした時に見つけにくかったりと不自由なことがあるはずです。

 補聴器の小型化は業界全体の大きな流れではありますが、そうでないものが求められているのも事実。実際、メーカーは最初に小型の補聴器を発売した後、大きなタイプの新製品も順次発売しています。

 大きな製品は、電池も大きくできるので、電池の持ち時間が長かったり、手先の不自由な人でも扱いやすい利点があります。

「最初は小さいのがいいと思っていたけど、実際につけ外しをしてみたら大きい方がいいわ」

 こうおっしゃる方も意外と多いです。

 大きい補聴器にもメリットはたくさんあります。大きいから性能が劣るわけではありません。目立つことは悪いことばかりではありません。

 ぜひ、自分の目で見て、手で触って、自分の耳に入れてみて、本当にこの大きさでいいのか体験して判断することをおすすめします。

田中智子

田中智子

シーメンスの補聴器部門でマーケティングの勤務を経て、2020年補聴器販売会社「うぐいすヘルスケア株式会社」設立。認定補聴器技能者資格保持。

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