認知症を予防する補聴器のすべて

会話が聞こえるようになって笑いのある人生を取り戻せた

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 訪問診療医からの紹介で、76歳の男性Kさんから相談を受けました。

 Kさんはタクシーの運転手をされていたのですが、65歳のときに隣に迫るトラックの音が聞こえなくなったことで仕事を引退。ですが病院で検査を受けることもなく、70歳の頃、集音した音の音量を上げるだけの機能しかない集音器を通販で購入。それも、いつしか使わなくなったそうです。

 ところが最近になってどうにか解決したいという思いが強まり、当社に相談にいらしたのです。Kさんはかなり難聴が進んでおり、障害者手帳が交付される可能性が高かったため、耳鼻咽喉科への受診を勧めました。その診断結果を持って、区役所に申請。障害者総合支援法による費用の自己負担を軽減する制度を利用し、補聴器の購入費用の支給を受けることができました。

 そんなKさんが当時を振り返ります。

「俺も補聴器を着けるまでは周りの人に失礼だった。話しかけられているのに、聞こえたふりをするのはつらかった。会話をしようとしても言葉が分からないから返事ができないし」

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田中智子

田中智子

シーメンスの補聴器部門でマーケティングの勤務を経て、2020年補聴器販売会社「うぐいすヘルスケア株式会社」設立。認定補聴器技能者資格保持。

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