五十肩を徹底解剖する

手術で腱板修復不可の場合はリバース型人工肩関節全置換術

写真はイメージ
写真はイメージ

 腱板断裂の手術成績は非常に優秀です。ただし、大きな断裂では手術でつないでもまた裂けてしまう恐れがあります。

 また、病院に来たときには、従来の手術では腱板の修復がすでに不可能になっている場合もあります。「五十肩」と思い込んで長年放置していたり、痛みのない腱板断裂のためにひどい断裂になるまで気づかなかったりするケースです。

 腱板を手術で修復できず、肩が痛い患者さんに対し、1980年代にフランスで開発されたのが「リバース型人工肩関節全置換術」。日本では2014年4月から可能となりました。

 肩関節は、上腕骨と肩甲骨から成っています。従来の人工関節術では、肩の本来の構造に合わせ、上腕骨側にボール状、肩甲骨側に受け皿部分の人工関節を設置します。この方法は「腱板が機能している」が適応条件なので、腱板断裂には行えません。

 一方、リバース型人工肩関節手術では、上腕骨側に受け皿部分、肩甲骨側にボール状の人工関節を設置します。この方法によって、腱板が断裂していても、肩関節を前後及び外側から覆う分厚い筋肉(三角筋)の力だけで腕を上げられるようになります。

 手術は肩前面に10センチほどのキズを作って行います。術後は腱板手術と同様に装具で患部を保護するものの、翌日から歩行可能。状況に応じ術後1~3週間の入院リハビリと、退院後は週1~2回の通院リハビリが半年前後必要です。

 個人差はありますが、リバース型人工肩関節置換術では、斜め前上方まで(前方挙上100~150度)バンザイできることを目安にしています。しかし痛みが取れ、洗濯物を干すなどの日常動作には十分な機能回復と満足度が期待できます。

安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

関連記事