健康長寿に役立つ高齢薬膳

【白ごま】「肺」に潤いを与えドライアイや呼吸器系トラブルを改善

白ごまキャロットラペ(提供写真)
白ごまキャロットラペ(提供写真)

 加齢による目の不調といえば老眼ですが、「ドライアイ」も現れやすい症状です。涙液の量や質が低下することによって、目の乾き、疲れ目、異物感、かすみといった症状が引き起こされた状態を指します。

 目の表面には液層・油層・ムチン層からなる「涙液層」があり、それによって潤いが保たれ、乾燥を防いでいます。しかし、年齢を重ねると分泌される涙の量が少なくなり、その質も悪くなります。さらに、涙の蒸発も加速します。涙液層のもっとも外側にある油層は油膜によって涙の蒸発を防止していますが、油の分泌量も加齢によって減少するためです。

 ドライアイは、パソコンやスマホなどによる目の酷使でも引き起こされやすくなります。また、エアコンによる室内の乾燥も症状を悪化させる原因です。そもそも秋から冬にかけては、目が乾燥しがちなシーズン。暖房の悪影響を防ぐためにも、ドライアイ対策を講じたい時季といえます。

 薬膳において、ドライアイの改善におすすめなのが白ごま。目にたっぷりと潤いを与える優れた働きがあるのです。

 白ごまは、目だけでなく全身に潤いを与える食材です。乾燥肌によるトラブルや、女性にとってはシワ対策にもおすすめです。また、体の外だけではなく、体内の乾燥の改善にも役立ちます。呼吸器系をつかさどる臓器である「肺」に潤いを与え、喉の痛み、咳、痰などの呼吸器系トラブルを改善するパワーが大。さらに、大腸に潤いを与えて便秘を改善する効能もあります。

 中医学において、秋は大気の乾燥によって肺が乾燥しやすくなる季節とされます。一年でもっとも呼吸器系トラブルを引き起こしやすく、便秘になりやすい季節で、もともと肺が弱いタイプの人は、ひときわこれらの不調が悪化しがちです。白ごまはまさにこの時季、積極的に取り入れたい食材なのです。

 手軽に取り入れられるのも白ごまの大きな魅力。食卓に常備して料理に振りかけるだけで、目と全身の「保湿ごはん」が完成します。白練りごまもドレッシングにしたり、パンに塗るなどして使いこなしてみましょう。

 ドライアイ対策には、目と関連の深い臓器「肝」の働きをアップさせる食材を取り入れることも重要です。白ごまに、ニンジン、ホウレンソウ、アサリ、シジミ、クコの実、レーズンなどを組み合わせるとよいでしょう。

■白ごま高齢薬膳レシピ

白ごまキャロットラペ

 ドライアイ改善によい、白ごま、ニンジン、レーズンを使ったレシピです。フランスの家庭では定番料理の「キャロットラペ」を白ごま風味にアレンジ。コクがあり、ニンジンの甘さが引き立つ味わいであと引くおいしさです。

【材料】2人分
●ニンジン  2分の1本
●レーズン  大さじ2
●パセリ  適量
●A(白練りごま・オリーブ油大さじ1、レモン汁・酢・ハチミツ・塩 各小さじ1)

【作り方】
 千切りにしたニンジンとレーズンをボウルに入れ、混ぜ合わせたAを加えてあえる。器に盛り、刻んだパセリを散らす。

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池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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