シニアに多い足のトラブルのひとつが「下肢静脈瘤」。下肢の静脈が拡張して、こぶのように膨らむ病気です。
静脈は、体の各部まで送り届けられた血液を心臓に戻す働きがある血管で、内部には血液の逆流を防ぐ「静脈弁」があります。この静脈弁が異常を来すと血液が足の静脈に逆流し、皮膚の表面に毛細血管が浮き出たり、皮膚の表面にこぶのような盛り上がりが現れるのです。静脈弁の機能は加齢によって衰えます。また、年齢とともに運動量が減り、筋力が衰えることによって症状が引き起こされやすくなるのです。
下肢静脈瘤は命に関わる病気ではありませんが、シニアの場合、下肢のうっ滞が強く足がだるい、むくむ、痛む、突っ張る、こむらがえりといった症状が現れやすくなります。また、症状が長引くと皮膚が変色したり、かゆみがひどくなり、生活の質を下げる原因になりかねません。早めに適切な治療を受けるとともに、食養生で改善を図りましょう。
中医学において下肢静脈瘤は血の巡りの悪さが原因と考えます。体の末端にまで栄養が行き届かず、新陳代謝が低下して老廃物がたまりやすい、「瘀血」という体質の人に多く見られます。打ち身やアザができやすく、クマやシミが多い、唇や顔の色が紫がかっている、肩こり、関節痛、頭痛に悩まされるといった特徴もあります。
改善のためには血行を促進する食材を取り入れましょう。おすすめはピーマン。血液をサラサラにして血流をアップする優れた効果があります。また、胃の働きを整えて、食欲不振の解消にも役立つ野菜です。
さらにピーマンは血の巡りだけではなく、「気」の巡りを良くする働きにも優れています。中医学では「気の巡りが滞っている状態」とは「ストレスがたまっている状態」と考えます。ピーマンは滞った気の流れをスムーズにして、気持ちをリラックス、ストレス解消にも貢献してくれるのです。
ピーマンを手軽に食卓に取り入れるなら、「刻みピーマン」にするのがおすすめです。サラダや魚・肉のソテーなどのトッピングに使うと、ほのかな苦みがアクセントになっておいしくいただけます。ピーマン同様、血行促進効果がある、カレーのトッピングに使うのもよし。シャキシャキとした食感も加わって、おいしい「血流アップカレー」が完成します。
パプリカも同様の効能があります。サラダなどにプラスすれば、見た目も華やぎ、食欲増進につながるので上手に使いこなしてみましょう。
ピーマンの下肢静脈瘤改善効果を高めるためには、同様の効能があるサバ、タマネギ、ニラ、黒きくらげなどと組み合わせるのがおすすめです。
■ピーマン高齢薬膳レシピ
ピーマンとサバの中華丼
下肢静脈瘤改善に良い、ピーマンとサバを使ったレシピです。
中華風の味付け、サバとの組み合わせでピーマンがおいしくたっぷり食べられます。具だけをおつまみにするのもおすすめです。
【材料】2人分
●ピーマン(みじん切り) 3個
●サバ水煮缶 2分の1缶
●ごはん 丼2杯分
●しょうゆ、ごま油、ラー油 適量
【作り方】
丼にごはんを盛り、缶汁をきったサバ、ピーマンをのせて、ごま油、しょうゆ、ラー油をかける。
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