健康長寿に役立つ高齢薬膳

【ゴボウ】「肺」の熱を冷まして鼻トラブルに威力を発揮

ゴボウおろしそば
ゴボウおろしそば(C)日刊ゲンダイ

 鼻が詰まる。鼻をかんでもかみきれずにスッキリしない……。シニアに多い傾向がある「副鼻腔炎」。鼻腔の周りにある空洞で、内側の粘膜は鼻の中の粘膜とつながっている「副鼻腔」に炎症が広がる病気です。風邪やインフルエンザ菌、肺炎球菌、ブドウ球菌などが副鼻腔に感染して引き起こされます。

 症状が強くなると、鼻詰まり、膿んだ黄色い鼻汁が出る、鼻汁が喉のほうに垂れてネバネバする「後鼻漏」がみられます。また、頭痛や頭重感、頬や目や額などに痛みが現れることもあります。悪化すると高熱が出たり、視力低下、嗅覚障害といった症状が起きることもあるのです。

 副鼻腔炎は 新型コロナウイルス感染後に引き起こされたり、悪化するケースもあります。さらに花粉症と併発することも多いため、とくにこの時期は要注意!

 「そのうち治るだろう」と放置すると、鼻の不調だけでなく、集中力の低下や不眠といった生活の質を下げる大きな原因になってしまいます。早めに食事も見直して対策を講じましょう。

 中医学において、鼻のトラブルは「肺」と呼ばれる臓器と関係が深いと考えます。肺の機能が弱まり「邪気」と呼ばれるウイルスや細菌が侵入することによって、症状が現れます。改善のためには肺の炎症を鎮める食材を取り入れることが大切です。

 おすすめはゴボウ。肺の余分な熱を冷まして炎症を鎮めるとともに、解毒作用による殺菌効果で鼻づまり、鼻水の改善に威力を発揮してくれます。

 ゴボウは中国では主に薬用として用いられ、その種は「牛蒡子」と呼ばれる生薬です。優れた解熱・消炎作用があり、熱を伴う風邪、喉の痛みや腫れ、咳止めに優れた効能があるとされています。花粉症による鼻トラブルにも良く、利尿作用によって鼻水の原因となる体内の余分な水を排出し、むくみの改善にも役立ちます。

 そのほか、食べ過ぎで太り気味、便秘気味の人にはぜひ取り入れてもらいたい野菜です。過剰に発生した熱を下げることで食欲を鎮めてスリム化、快便に効果的です。

 ゴボウは皮の部分に多く薬効が含まれるので、皮はむかずにタワシでこする程度にするとより効能が高まります。

 ゴボウの副鼻腔炎改善効果を高めるには、体内の余分な熱を下げ、肺の機能を高める大根と組み合わせるとよいでしょう

■ゴボウ高齢薬膳レシピ

ゴボウおろしそば

 炎症を鎮めて鼻の不調を改善する作用の高いゴボウと大根を組み合わせたレシピ。市販のざるそばと、きんぴらごぼうを使って手軽に作れます。ごま油の風味が、そばときんぴらごぼうをつないで美味しくいただけます。

【材料】2人分
・ざるそば(市販品) 2個
・きんぴらごぼう(市販品) 70グラム
・大根おろし 大さじ6・ごま油 少々

【作り方】
 器にざるそばを盛り、大根おろしときんぴらごぼうをのせる。ざるそばに添付されためんつゆに、ごま油を加えて混ぜてかける。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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