「水は“量”にこだわるよりも、体の欲求に従って飲みたい分だけ飲むのがいい」
こう言うのは、国際医療福祉大学熱海病院の〆谷直人医師。「1日に必要な水分は2リットル」とよく聞きますが、仮に4分の1の量の500ミリリットルしか飲まなくても、すぐには心配いらないとのこと。
なぜなら、腎臓が体内の水分量をコントロールしてくれるから。水分が不足すれば腎臓が尿を減らして体内の水分をキープしてくれます。
1日に必要な水分量は体重の4%相当なので、体重が50キロであれば2リットルとなります。一般的に食事から1日0.8~1リットルの水分を摂取できるので、飲む量は1リットル前後が目安。喉が渇いていなければ無理に飲む必要はありません。
ただし「一度に飲む量」に注意が必要です。
「腎臓の利尿処理速度は毎分16ミリリットルが限度。一気に飲むと、腎臓で処理しきれない水分が血中に流れ、ナトリウム濃度が低下。低ナトリウム血症を起こしかねません」
すると、頭痛や食欲不振の症状が表れ、重度の場合、けいれんや昏睡(こんすい)を起こしてしまいます。さらに、水分の取り過ぎが原因で花粉症などアレルギー症状やアトピー性皮膚炎が悪化することもわかっています。
そこで、一気にがぶ飲みするのではなく、少しずつ飲むこと。冷たい水は体を冷やし、腹痛や頭痛、めまいを引き起こすことがあるので、常温か白湯(さゆ)がよいでしょう。
「働き盛りの男性なら、マグネシウムが多い硬水がおすすめです。ストレスでマグネシウムが消費され、ミネラルバランスが崩れがちだからです」
利尿作用が強い緑茶やコーヒー、ビールは適切な水分補給にはなりません。夜はトイレが心配で水分を控える人がいますが、寝ている間に脱水症になるほうが心配です。夜中に起きてもいいから飲んでください。
これまでの健康常識は捨てていい