「半身浴は健康や美容に良いとされてきましたが、最近は疑問視する声もあります。やり方によっては、かえって体に悪い場合もあります」
こう言うのは、国際医療福祉大学熱海病院・〆谷直人医師。半身浴は、もともと高血圧の人のための入浴法で、肺や心臓に水圧がかからず、負担感が少ないことから、長時間入浴できることがメリットです。
しかし、高温の湯では、半身浴でも、全身浴と同じように心拍数が急上昇してしまいます。どちらの入浴法でも、夏は38度、冬は40度程度が適温だそうです。
「38度ぐらいのぬるめの湯に20分ほど漬かれば、副交感神経が優位になり、脳がリラックスしてきます。このように長く入浴するためには、半身浴の方が適しています」
ただし、あまりに長く入浴すると肌の保湿成分であるセラミドが湯に溶け出し、乾燥肌になってしまいます。30分以上の入浴は避けた方が良いでしょう。温泉でも同じです。
また、半身浴は全身が温まるまで時間がかかり、上半身が冷えやすい欠点があります。
それに対して、全身浴は短時間で体が温まり、全身の血管が広がって血行が促進されます。冷え症や肩凝りなどの改善を期待するなら、そして心臓に持病がないなら、「全身浴の方がベター」なのだとか。
そうはいっても、20分間半身浴をしてたっぷり汗をかけば、ダイエットやデトックスの効果がありそうですが?
「半身浴でも全身浴でも、消費カロリーは30分で30~50キロカロリー程度。ダイエット効果はほとんどないでしょう」
半身浴でかく汗では、毛穴の汚れや皮脂、体内の毒素といわれる老廃物はほとんど排出されません。
一方で水分は出ていくので、水を飲みながら、あくまでリラックスのために半身浴を楽しみましょう。
これまでの健康常識は捨てていい