日本全国「不健康偏差値」対決

【40代女性】総合2位の秋田はLDLと尿蛋白以外は“優秀”

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トップの沖縄は「飲酒」が影響?

 今日は40代女性の結果を見ていこう。

 総合1~3位は、男性の1位~3位の入れ替えになっている。1位は沖縄県、2位が秋田県、3位が青森県だ。ただし総合偏差値の差はわずかで、ちょっと油断すれば、たちまち順位が入れ替わってしまう接戦だ。

 総合1位の沖縄県は、γ‐GTP(偏差値89.2)とBMI(同83.2)でダントツの首位だった。γ‐GTPが高いのは、やはり飲酒だろう。沖縄県が実施した「適正飲酒推進調査事業(2016年)」によれば、沖縄県民の飲酒の回数は、全国平均よりも少ないのだが、1回に飲む量が多い。一晩でアルコール量にして200グラム(日本酒なら7.5合、ビールなら4リットル)以上を飲むひとが、全女性の3.4%(男性では9.3%)もいる。毎日少しずつ飲むよりも、肝臓へのダメージが大きいはずだ。

 BMI30以上は、全受診者の7.6%いる。13人に1人が肥満ということになる。空腹時血糖値もトップ5に入っている。ただし血圧の偏差値は39.2と、かなり低い。男性でも血圧が低かった。沖縄県民の生活は、太りやすく、肝臓に負担がかかりやすいが、血圧には優しい、ということが言えそうだ。

40代女性「不健康偏差値」の順位
40代女性「不健康偏差値」の順位(提供)永田宏
秋田の血圧偏差値は男女とも"日本一"

 総合2位の秋田県は、LDLコレステロールと尿蛋白以外は、すべて"優秀"な成績を収めている。とくに血圧の偏差値はトップで、男女とも"日本一"の栄誉を手にしている。またγ‐GTPは全国3位だ。食品産業新聞社によれば、2017年度の全国1人当たりの飲酒量で秋田県は第4位、とくに日本酒に限れば第2位だったそうだ。

 男女別・年齢別の数字が出ていないため、はっきりしたことは分からないが、やはり酒の影響が強く出ているのだろう。日本酒は糖分が多いので、空腹時血糖値や中性脂肪も上がりやすくなる。一方、LDLコレステロールが低いのは、昨日も書いた「第2期健康秋田21計画」のおかげに違いない。

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青森県民は糖尿病が重症化しないと病院に行かず?

 第3位は青森県だ。こちらは中性脂肪が低く、血圧は全国平均より少し高い程度だが、残りの5項目はいずれも偏差値60以上である。特に空腹時血糖値は全国1位、BMIとγ‐GTPは、沖縄に次いで全国2位という"好成績"を出している。

 糖尿病ネットワークによると、2018年度の人口10万人当たりの糖尿病死亡者は、青森県が20.2人でダントツ(全国平均11.4人)だ。青森県民は、糖尿病がかなり重症化するまでは、あまり病院に行かないそうだ。そのためか、尿蛋白でも全国トップ5に入っている。

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東京都の女性はストイックな人生を送る?

 さて、目を下に移してみよう。今回の最下位は、なんと東京都だった。「健康王国」長野県を僅差で抑えて、堂々の47位を獲得した。東京都の40代女性は、意外にも"不健康的にはよろしくない"、つまり健康にいい生活を送っているに違いない。仕事帰りにジムに寄って、フィットネスに励んでいたり、低炭水化物ダイエットにはまっていたりするひとが多いイメージがある。BMI30以上は全受診者の3.7パーセントに過ぎず、偏差値(38.1)では44位となっている。楽しいことや、美味しいものは、だいたい健康に悪い。東京都の女性たちは、それらとは逆の、ストイックな人生を歩んでいるのだろう。

 ちなみに40代女性でBMI最下位は、京都府だ(3.5パーセント、偏差値35.6)。京美人に肥満はいないということか。いずれにせよ、首都東京の働き盛りの女性たちが、元気であることは頼もしい。これからも日本経済の牽引役として、バリバリと仕事をこなしていってもらいたい。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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