おせち料理に欠かせない黒豆は、薬膳では強力な若返りのパワーがあるとされる食材です。
老化は中医学において「腎」と呼ばれる臓器と深い関わりがあります。腎は人の成長や発育、生殖、老化をつかさどり、全身のエネルギーをためておく臓器。ここが弱ると肌が乾燥して白髪が増え、耳が遠くなり、足腰が曲がって弱くなる、歯がもろくなる、記憶力が低下する……といった老化現象が加速します。
腎のパワーアップにおすすめなのが「黒食材」です。薬膳の考え方のひとつである「五行説」では、体の機能と色を関係づけています。腎をつかさどる色は黒。黒食材は生命力や気力を養い、若々しさを保つパワーがあるのです。
黒豆は腎の働きを高める代表格ともいえる老化防止によい食材。生薬としても使われているほどの効能があります。また、血を補い、なおかつ血行を促進する作用もあります。肩こり、腰痛、関節痛の改善、がんなどの悪性腫瘍や、脳卒中の予防にもぜひ取り入れたい食材です。
利尿作用も高いので、むくみが気になるときにもおすすめです。女性にとってはシミ、クマ、更年期トラブルの改善にも役立ちます。
黒豆は甘煮のイメージが強いかもしれませんが、大豆と同じように煮物やスープなどの具材に使ってもおいしくいただけます。
また、カレーやトマト煮など洋風の料理に使っても、独特のコクがあり、おいしく仕上がります。既成概念にとらわれずに、いろいろな料理にアレンジしてみることは認知症防止にも役立ちます。積極的にメニューに取り入れてみましょう。
黒豆を水で戻して、ゆでてから冷凍しておくと手軽に使えて便利です。ゆで汁は黒豆の効能がたっぷり入ったエキスです。塩を足してお茶として飲むとよいでしょう。
また、常備菜としておすすめなのが「黒豆の黒酢漬け」です。ゆでたての黒豆を容器に入れ、ひたひたになるまで黒酢を注ぎ、2~3時間おいて完成。1週間程度、保存が可能です。
黒酢も腎の働きを高める作用があるため、より老化防止に効果的な一品に仕上がります。そのままお茶請けにしたり、サラダに使ったりするとおいしくいただけます。
最近では黒豆の水煮もスーパーで販売されています。調理が難しいときは、黒豆茶も便利。こまめに取り入れて、生涯現役を目指しましょう。
■黒豆薬膳レシピ
シャカシャカ黒豆
市販の蒸し黒豆を使った手軽なレシピ。袋にスプーンを入れてそのまま食べれば、おっくうな洗いものも不要です。昆布、黒ごま、クコの実も腎の働きを高める働きがあります。昆布茶の風味で、おやつやおつまみとしておいしくいただけます。
【材料】1人分
▼蒸し黒豆 1袋
▼黒すりごま 大さじ1
▼昆布茶 小さじ2分の1
※あればクコの実 適量
【作り方】
「蒸し黒豆」のパックの上部をハサミでカット。切ったところから黒すりごま、昆布茶を入れて切り目を手で押さえ、シャカシャカ振る。器に盛り、クコの実をのせる。
健康長寿に役立つ高齢薬膳