健康長寿に役立つ高齢薬膳

【ウナギ】筋肉と骨を強化する「強筋骨」食材で腰痛をケア

オクラウナとろ
オクラウナとろ(提供写真)

 年を重ねると、腰痛に悩まされるケースが多くなります。加齢で脊椎の変形や椎間板の変性、骨強度が低下し、これらに伴う姿勢の変化による筋肉の疲労などが要因となり、腰の痛みが引き起こされます。

 腰痛で外出がおっくうになったり、日常生活であまり体を動かさない生活が続くと、いよいよ筋肉が衰えます。いつまでもアクティブな日々を送るためにも、食事を見直して対策を心掛けましょう。

 腰痛は中医学で「腎」と呼ばれる臓器と関わりが深いとされ、「腰は腎の府(容器)」ともいわれています。腎は老化をつかさどり、骨や髄とも関わる臓器です。そのため腎が弱ると、腰痛、腰が重だるい、足腰に力が入らない、骨が折れやすくなるといった症状が加速します。腰痛対策には腎の働きを高める食材は欠かせないのです。

 また、併せて筋肉をつかさどる臓器「肝」の働きを強化すると、より効果的です。

 おすすめの食材はウナギ。腎と肝の働きをダブルで補う作用があるのです。その効能は中医学用語で「強筋骨」。筋肉と骨を強化する足腰にうれしいパワフルフィッシュなのです。また、関節痛の改善にも役立ちます。

 ウナギは人間のエネルギー源である「気」、栄養分である「血」を補う効能もあり、免疫力を高め、滋養強壮にも威力を発揮します。また、疲れ目、視力低下、めまい、手足のしびれ、精力減退にもよく、土用の丑の日だけではなく通年、取り入れていただきたい食材です。

 ウナギというと、「高い」「うな丼以外の食べ方が思いつかない」というイメージがありますが、かば焼きを刻むと、いろいろな使い方ができます。ご飯に混ぜたり、野菜と組み合わせてサラダにしたり、炒めたりすれば、家計にやさしく、パワーアップが実現します。中華やトマト味にアレンジしてもおいしくいただけます。

 腰痛改善のためにウナギと組み合わせるとよいのが、ナガイモ、オクラ、ナメコです。ぬるぬる、ねばねばした食材は弱った腎の働きを立て直し、腰の痛みを和らげるのに役立ちます。そのほか、同じく腎を補う作用があるニラ、ブロッコリー、黒キクラゲと一緒に調理するのもおすすめです。

ウナギ高齢薬膳レシピ
オクラウナとろ

 筋肉と骨を強化するウナギに、ぬるねば食材のナガイモとオクラを組み合わせたレシピ。とろろとオクラの口当たりがよく、食が進む。ご飯の上にのせて丼風にするのもおすすめ。

【材料】2人分
●ウナギのかば焼き 2分の1匹
●ナガイモ 10センチ
●オクラ 6本
●醤油 少々
●サンショウ 適量

【作り方】
 ウナギはひと口大に刻む。オクラはガクを取り除き、熱湯でさっとゆでて冷水にとり、ざるにあげて小口切りに。ナガイモは皮をむいてすりおろし、とろろにする。器にウナギを盛り、とろろをのせてオクラを散らし、醤油とサンショウをかけて食べる。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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