健康長寿に役立つ高齢薬膳

【ニラ】血の滞りを解消して血流をアップさせ凝りをほぐす

ニラとサンマかば焼きの卵とじ
ニラとサンマかば焼きの卵とじ(提供写真)

 年を取るにつれて、肩凝りがひどくなる人は少なくありません。加齢に伴って骨が変形したり、大胸筋など胸の筋肉が縮んで弱まり、背筋力も低下します。その結果、姿勢が前に傾きやすく、肩に負担がかかって筋肉の血行が悪くなることで、肩凝りが引き起こされるのです。

 とくにシニアの場合は、凝りより痛みが強くなりがち。しんどいあまりに体を動かさずにいると、いよいよ血流が悪くなって筋肉が凝り固まってしまいます。食事で体の中からも凝りをほぐしましょう。

 中医学においても、血の巡りが悪くなり筋肉が硬くなることで肩凝りが起こると考えます。血の巡りが悪い状態は「於血」と呼ばれ、体の末端にまで栄養が行き届かず、新陳代謝が低下して老廃物が体にたまりやすくなります。肩凝りと同時に打ち身やアザができやすくなったり、頭痛、関節痛などのトラブルが見られることがあります。

 さらに血の巡りの悪さは、がんなどの悪性腫瘍、血液がドロドロになってあちこちに固まりやすいことから脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす原因にもなります。しっかりと血行を促進する食材を取り入れて、肩凝りを改善するとともに、これらのリスクも回避しましょう。

 おすすめの食材はニラです。血液をサラサラにして血の滞りを解消し、血流をアップする優れた効果があります。また、別名「起陽草」と呼ばれるように体を温める効能があり、冷えの解消にも役立ちます。

 とくに足腰の冷えに威力を発揮。いまの時季は積極的に取り入れたい野菜です。

 ニラには老化をつかさどる臓器「腎」の働きを高め、若々しさを保つ働きもあります。足腰の衰えを防ぐ作用にも優れているため、腰痛改善にも役立ちます。また、男性の滋養強壮にもよいスタミナ野菜で、精力減退、EDが気になる人にもおすすめです。

 ニラというと、中華料理のイメージが強いかもしれませんが、おひたしや味噌汁の具など和食でもおいしくいただけます。

 さらに、肩凝り改善のためにニラと組み合わせるとよいのが青魚です。サンマ、イワシ、サバ、アジなどは、血行を促進し、老廃物を洗い流す働きがあります。

 そのほか同じく血の滞りを改善し、全身に巡らせる作用がある黒キクラゲやタマネギとともに調理するのもおすすめです。

■ニラ高齢薬膳レシピ

ニラとサンマかば焼きの卵とじ

 血行を促進するニラとサンマの組み合わせレシピ。サンマのかば焼き缶を使えば手軽に完成。缶汁ごと使うので味付け不要、サンマのうま味が染みたニラも卵も絶品! ごはんにのせて丼風にするのもおすすめ。

【材料】2人分
●サンマのかば焼き缶(100グラム) 1缶
●ニラ 2分の1把
●卵 2個
●サンショウ 適量

【作り方】
 鍋にサンマのかば焼き缶を汁ごと入れ、水2分の1カップを加えて煮立たせたら、ザク切りにしたニラ、ときほぐした卵を入れてかき混ぜ、固まってきたら火を止めて余熱で仕上げる。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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