健康でパワフルな体のためにはメンタルケアも重要です。加齢によってストレス耐性は低下していきます。その上、シニアのストレス要因は若い頃とは違って、容易に解消できるものではありません。身近な人の死、退職による経済問題、視覚や聴覚の衰え、記憶力や判断力の低下による日常生活の不具合……。ジワジワとたまってしまうストレスはうつ病の原因になりやすく、そればかりか体にもダメージを与えます。疲労感、食欲減退、不眠、頭痛、腹痛、血圧上昇といったトラブルを引き起こすリスクもあるのです。
いまは、それでなくてもコロナ禍でストレスがたまりがち。日々の食養生で“こころ”の健康維持に努めましょう。
中医学において、ストレスがたまっている状態は、気の流れが滞っている=「気滞」の状態であると考えます。気の巡りは西洋医学でいう自律神経に重なり、そのコントロールがうまくいかなくなることでイライラ、情緒不安定といった症状が起きるのです。
気が滞るとガスやゲップ、しゃっくり、ため息が多く、口が苦く感じたりするといった症状も見られます。また、気滞の特徴のひとつが「張った痛み」。胃や脇腹が張って痛み、肩こりも「肩がパンパンに張って痛む」といった傾向があります。
とりわけ、「何かいつも喉に詰まっている感じ」があったら要注意。これは「梅核気」といって、気の流れが滞り、梅の種が喉に詰まったかのように喉から胸にかけて違和感がある症状なのです。自覚がなくてもかなりのストレスがたまっている証拠です。
気を巡らせてストレスを解消するためにおすすめなのが「セロリ」です。中医学において気滞の改善によく使われる食材です。
独特の香りが気の流れをスムーズにしてリラックスさせてくれます。体の上部に上がった気を下げて興奮状態を鎮める作用が高いので、イライラしたり、怒りっぽくなっているときには効果絶大です。
さらに、セロリは血圧降下にも威力を発揮します。高血圧の人にはコンスタントに取ってもらいたい野菜でもあります。のぼせ、頭痛、めまい、目の充血、むくみの改善にも役立ちます。
セロリは葉の部分に高い薬効があります。捨てずに細かく刻んで茎の部分と一緒にサラダに使ったり、スープのトッピングなどに使うとよいでしょう。
また、セロリの薬効を生かすためには、香りが消えないようにするのがポイント。加熱する際は調理時間を短めにしましょう。
セロリのストレス撃退効果をさらに高めるには、同じく気を巡らせる働きのあるそば、大根、柑橘(かんきつ)類との組み合わせがおすすめです。加えて、自律神経をつかさどる臓器「肝」の働きを強化する、イカ、ホタテ、カツオ、レバーなどを取り入れるとさらに効果的です。
■セロリ高齢薬膳レシピ
セロリとイカの中華風そば
気を巡らせてストレスを改善するセロリとそば、肝の働きを強化するイカを組み合わせたレシピ。市販のざるそばとイカそうめんを使ったお手軽薬膳そばです。ごま油の風味がセロリとそばをうまくつないで、おいしくいただけます。
【材料】2人分
●ざるそば(市販品) 2個
●セロリ(茎)2分の1本
●セロリ(葉) 適量
●イカそうめん 100グラム
●ごま油 小さじ1
●塩 少々
【作り方】
セロリの茎は縦半分にしてから斜め薄切りに。葉は粗く刻んで塩を振ってもみ込む。器にそばを盛りつけ、セロリ、イカをのせる。添付のつゆにごま油を混ぜてかける。
健康長寿に役立つ高齢薬膳