健康長寿に役立つ高齢薬膳

【昆布】「腎」の働きを高めて利尿と快便を促すデトックス食材

切り昆布ともやしのナムル風
切り昆布ともやしのナムル風(提供写真)

 気が付くと足がパンパンに腫れて、ひどく重だるい……。足のむくみはシニアに多い悩みです。主に生活習慣と加齢による筋肉の衰えによって、水分が足に停滞することで引き起こされます。

 年を重ねるにつれて座っている時間が長くなり、足を動かさないために下半身のリンパの流れが悪くなって、ふくらはぎに水分がたまりやすくなります。さらに筋力が低下して、歩行の際に足をしっかりと動かせず下半身の血液を押し流せないことも、むくみにつながります。足のむくみが慢性化すると、歩きづらくなったり、痛みが表れるケースもあります。早めに改善を図りましょう。

 中医学では、足のむくみは「腎」の機能低下にあると考えます。腎は老化をつかさどる臓器であるとともに、水分代謝の調節も行います。腎の働きによって、不要な水分は尿として排泄し、必要な水分は全身へ運ばれるのです。

 加齢で腎の働きが衰えると、尿の排泄がうまくいかなくなり、下半身がむくみやすくなってしまいます。改善のためには、腎の働きを高める食材を取り入れることが大切です。

 おすすめは海藻類。中でも最もパワーがあるのが昆布です。昆布は「腎」の働きを高め、生命力や気力を養い、老化によるトラブル全般に効能があります。そして、体内の余分な水分を体から排出させる利尿作用があり、むくみ改善に威力を発揮します。さらに、体の中のしこりをほぐすという働きもあるため、便秘にも効果的。利尿と快便を促す強力な「デトックス食材」なのです。

 しこりをほぐすという意味で、腫瘍、肩こりの改善にも役立ちます。また、髪につやを与えて美しく保つ効果が高く、抜け毛防止にもおすすめです。

 昆布は、昆布茶、おしゃぶり昆布、塩昆布、とろろ昆布、昆布の佃煮、昆布だしといろいろな形で取り入れやすい食材です。台所や食卓に常備して、こまめに摂取するとよいでしょう。

 昆布のむくみ改善効果を高めるには、水分代謝をアップする働きのある緑豆もやし、豆類と組み合わせるのがおすすめです。 

■昆布高齢薬膳レシピ

切り昆布ともやしのナムル風

 腎の働きを高め、むくみの改善によい昆布と、体の余分な水分の排出作用に優れた緑豆もやし、枝豆を組み合わせたレシピ。

 ごま油の風味がきいたナムル風の味付けで、昆布がおいしくたっぷりいただけます。

【材料】2人分
●切り昆布(刺し身用)  100グラム
●緑豆もやし  100グラム
●枝豆  20粒
●にんにくすりおろし  少々
●A(ごま油=大さじ1、鶏がらスープのもと=小さじ1、しょうゆ=少々)
●塩・こしょう  適量

【作り方】
 ボウルに食べやすく切った切り昆布、さっとゆでて冷ましたもやし、枝豆を入れ、Aを加えてあえる。塩、こしょうで味を調える。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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