健康長寿に役立つ高齢薬膳

【枝豆】「脾」を強めて水分代謝をアップしつつ「気」と「血」を補う

枝豆ともやしの海苔カレー風味(提供写真)
枝豆ともやしの海苔カレー風味(提供写真)

 老化によって起こりやすい皮膚のトラブルのひとつが「じんましん」です。加齢によって、皮膚の水分保持力や皮脂量は減少します。そのため皮膚のバリアー機能が低下し、外からの刺激を受けやすく、トラブルが引き起こされてしまうのです。

 じんましんとは、突然強いかゆみを伴う大小のブツブツが現れたり、皮膚が盛り上がって腫れたような状態になったりする疾患です。かきむしると広がったり、盛り上がった部分がつながって形が変わることもあります。数時間後には症状が治まるケースが多いのですが、一日近く続いたり、慢性化する場合もあります。

 冬場は寒さによる刺激で「寒冷じんましん」も引き起こされやすい季節です。不快なかゆみに悩まされないように、薬膳で体の中からのケアにも努めましょう。

 中医学では体内の水分調節をつかさどる臓器である「脾」の働きが弱ると、水の巡りが悪くなってじんましんを引き起こしやすくなると考えます。脾の働きが低下すると、むくみ、下痢といったトラブルも見られます。とくに、湿気の強い梅雨どきに症状が現れがちです。

 また、人間のエネルギー源である「気」、全身に栄養を与える成分「血」の不足もじんましんの原因になります。気は体表を保護する作用があります。この働きが弱まると、皮膚が外からの刺激を受けやすくなってしまうのです。また、血の不足は皮膚を滋養することができないために、じんましんなどの皮膚病を引き起こしやすくなってしまうのです。

 改善のためには、水分代謝をアップしながら、気と血を補う食材を取り入れることが大切です。おすすめは枝豆。脾を強めて水分代謝をアップし、利尿を促す作用に優れています。むくみの改善にも役立ちます。「ビールに枝豆」は理にかなっているのです。また、気と血を補い、滋養強壮にも優れた効果があります。胃の不調、便秘、血圧降下にもよく、女性にとっては美肌にも威力を発揮。ビールのおつまみだけではなく「スーパービーンズ」として、もっとふだんの食事に取り入れていただきたい豆なのです。

 コンビニやスーパーで販売されているゆで枝豆や冷凍の枝豆を積極的に活用してみましょう。サラダやスープのトッピングに使ったり、肉と炒めたりすると料理の彩りもアップします。

 枝豆のじんましん改善効果を高めるには、同じく水分代謝をアップする効能がある緑豆もやし、海苔などと組み合わせるのがおすすめです。

■枝豆高齢薬膳レシピ

枝豆ともやしの海苔カレー風味

 水分代謝をアップしつつ気と血を補う枝豆に、利尿作用に優れた緑豆もやし、海苔を組み合わせたレシピ。カレー風味で食欲が進みます。隠し味のしょうゆと海苔の効果でごはんのおかずにもぴったりです。

【材料】2人分

●ゆで枝豆  120グラム
●緑豆もやし  1袋
●もみのり  適量
●A(オリーブ油 大さじ1、鶏がらスープの素 小さじ1、カレー粉、しょうゆ 少々)
●塩、こしょう  適量

【作り方】

 熱湯でさっとゆでて水気を切った緑豆もやし、さやから出した枝豆をボウルに入れ、混ぜ合わせたAも加えて混ぜ、塩・こしょうで味を調える。器に盛り、もみのりをのせる。

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池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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