コロナ第2波に打ち勝つ最新知識

データで読み解く新型コロナの正体 第2波は第1波より弱い

検査数と感染者数には強い相関がある
検査数と感染者数には強い相関がある(C)日刊ゲンダイ

「感染者、過去最多!」「10日間連続〇〇人超!」といったニュースが連日流れてくるのだから、ますます不安が募る。しかしこういうときこそ冷静になって、信頼できるデータを評価し直すべきだろう。

 政府も自治体もデータ公開には消極的だが、東京都は「新型コロナウイルス陽性患者発表詳細」と称するファイルを公開している。感染者ごとに「公表年月日」「患者の年代」「性別」など、ごく限られたデータを載せただけで「詳細」とは言い難いものだが、それでもないよりはマシだ。その他の発表資料と組み合わせれば、全体像がそれなりに浮かび上がってくるだろう。それに東京都は感染拡大の震源地だから、他県にとっても参考になるはずだ。

 政府の緊急事態宣言は5月25日に解除された。それ以前を仮に「第1波」と呼ぶことにしよう。一方、6月末から7月上旬にかけて、感染者が再び増え始めた。区切りよく7月1日からを「第2波」と呼ぶことにする。第2波はまだ継続中だが、この原稿を書いている8月7日までのデータを使うことにする。

 第1波と第2波の状況を比較しよう。まず感染者数だ。第1波は5133人(男2919人、女2207人、不明7人)、第2波は8882人(男5390人、女3490人、不明2人)で、この数字だけを見ると、第2波のほうが強い印象を受ける。

 しかしPCR検査数が違う。第1波では、最も多い日でも、1500人に満たなかった。第2波では、平日で2500人以上、日曜でも1000人ないしそれ以上が検査を受けている。直近では平日で6000人近く、日曜で2000人近くに達している。検査数が多かった日の翌日は、感染者数が増える。たとえば7月31日には、過去最多の5664人が検査を受け、翌日に発表された感染者は、やはり過去最多の472人となった。逆に7月23日から26日までは検査数が少なかったが、それに呼応して24日から27日までは感染者も少なかった。

 このように検査数と感染者数には強い相関があるので、第1波と第2波を単純に比較するわけにはいかない。数字からは第2波が強そうに見えるが、第1波のときは相当数の感染者が見逃されていた可能性が、きわめて高い。第2波と同じ数だけ検査を行っていれば、1日当たりの感染者が1000人超の日が何日もあったはずだ。第2波はむしろ「第1波より弱い」と考えたほうがよさそうである。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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