京大ウイルス学者が語る新型コロナ「ファクターX」の正体

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「ウィズコロナ」「アフターコロナ」という言葉がはやっている。この言葉は本来は不適当で、「ウィズ新型コロナ」「アフター新型コロナ」と言い改めるべきである。なぜなら、コロナウイルスは哺乳類や鳥類と古くから共存しており、ヒトもその例外ではなく、昔から「ウィズコロナ」だからである。

 私が知る限り、ヒトに感染するコロナウイルスはこれまで8種類見つかっている。

 一般的には、今回の新型コロナウイルスは、風邪のコロナウイルス(HCoV―229E、OC43、NL63、HKU1)と重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスに続いて7番目のヒトコロナウイルスとされているので、「おや?」と思われる方もいるだろう。

 しかし、「ヒト腸コロナウイルス」という名前のウイルスが存在するのである。このウイルスは下痢便から見つかっていて、呼吸器疾患は起こしていないようである。また、流行状況も不明であるため、一般的にはヒトに感染するコロナウイルスとしてはカウントされていない。

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