コロナ第2波に打ち勝つ最新知識

数字で比較 第2波の重症化・死亡リスクはかなり低い?

「感染拡大警報」のフリップを掲げる小池都知事
「感染拡大警報」のフリップを掲げる小池都知事(C)日刊ゲンダイ

「強い」「弱い」と曖昧なことを言っても状況は分かりにくい。もっと具体的な数字で比較してみよう。

 最も説得力があるのは「死亡数」だろう。東京都の新型コロナウイルスによる死亡は、8月11日までに336人。そのうちの280人が第1波の期間中(5月24日以前)に亡くなった。緊急事態宣言解除から2週間後の6月7日までに、さらに31人が亡くなっている。これは第1波期間中に感染した人たちと考えていいはずだから、第1波による死者は311人ということになる。

 一方、第2波(7月1日~8月11日とする)までに11人が亡くなっている。期間中の最初の死亡は7月15日なので、この11人全員を、第2波の犠牲者としていいだろう。

 それぞれの期間中の感染者数をもとに計算すると、第1波の致死率は「6・1%」、第2波は「0・1%」となる。第2波は、死亡数も致死率も、圧倒的に低いことが分かる。

 もちろん、これから増えてくることも考えられる。しかし、7月上旬に多くの専門家が「2週間後には大変なことになる」と予想していた。だが、2週間たっても3週間たっても、死亡数に関しては、さほど大変なことにはならなかった。いまもなっていない。

 死者は増えていなくても、重症患者が増えているかもしれない。ところがこちらも増えていない。人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)の全国の使用状況をモニターしている「ECMOネット」(https://www.ecmonet.jp/)の集計によれば、東京都の人工呼吸器装着者(ECMOを含む)は、7月1日時点で20人だったが、7月15日までに5人に減った。その後、徐々に増えて8月7日には22人になり、再び減って8月11日時点では23人となった。第1波のときは最大89人いたのだが、今回はなかなか増えてこない。ECMOに限れば7月1日時点で1人。その後、1人増えたり減ったりしつつ、8月11日では4人になった。増加傾向と言えるかどうかは、今後1~2週間の動きを見なければ分からない。しかし、第1波の最悪期(18人)には遠く及ばない。

 全国に目を向けても、大半の道府県では、重症者がほとんど増えていない。ただ、千葉県、愛知県、沖縄県で数人増えた。特に大阪府では、7月1日から8月11日の間に3人から49人に増えている。この間の死亡数は11人だったが、今後、大幅に増えることが懸念される。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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