コロナ第2波に打ち勝つ最新知識

第2波の特徴は20代30代の感染者増 毒性が弱まった可能性も

重症化懸念の60代以上の割合は低い
重症化懸念の60代以上の割合は低い(C)日刊ゲンダイ

 大阪府だけ重症者が増え続けている。しかし、原因がはっきりしない。高齢者施設のクラスター発生ということも考えられる。7月下旬から、いくつかの施設で集団感染が続いている。だが、東京都など他の自治体でも介護施設のクラスターが発生しているのに、重症者の目立った増加は見られていない。

 第2波(7月1日~8月11日)の特徴は20~30代の感染者が多いこと。若い世代は感染しても、ほとんどの人が無症状か軽症だ。東京都の感染者数を見ると表のようになっている。20~30代が圧倒的に多く、重症化しやすいと言われる60代以上の割合はかなり低い。

 だが重要なのは、割合よりも人数である。第2波の60代以上の感染者は、第1波(5月24日以前)の6割になっている。そこで第1波と第2波で「死亡・重症化する感染者の割合が等しい」としたら、どうだろう。東京都の第1波の死亡者は311人だが、20代は大相撲三段目力士の勝武士だけで、30代はゼロ。大半が60代以上の高齢者だった。8月2日付の読売新聞によれば、6月末までの全国の死亡者の平均年齢は、なんと79・3歳だったそうだ。

 とすれば第2波では第1波の6割の、190人前後が亡くなっていても不思議ではない。これから増えるとしても、現時点で数十人に達していないと、おかしいのではないか。ところが第2波の死者は、8月11日現在11人に過ぎない。人工呼吸器やECMOの対象者もほとんど増えていない。

 第2波の死亡がこれだけ少ないのは、実は「感染しても重症化や死亡するリスクが大幅に減っているから」かもしれない。「ウイルスは6月下旬までに突然変異で毒性(病原性)が弱まった」という説が、ネット上に多く書き込まれている。素人考えに過ぎないかもしれないが、第2波のこれまでの状況を見れば、そう考えるほうが、むしろ自然という声が出ても不思議はないだろう。

 同様に「ウイルスの感染力が増した」という説がある。たしかに短時間の接触でクラスターが発生したと思われるケースが増えており、飛沫感染だけでは説明しにくい。そのため空気感染が取り沙汰され始めている。

 まとめると、新型コロナウイルスは「感染力が増し毒性が弱まった」可能性がある、ということが言えそうである。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

関連記事