健康指標の意味を知る

【中性脂肪(TG)】高い中高年は糖尿病や腎臓病の遠因に

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 健診で測る脂質関係の項目は「中性脂肪」「HDLコレステロール」「LDLコレステロール」の3項目です。職場によっては「総コレステロール」という項目が入っているかもしれません。この3項目の数値をもとに算出する値で、LDL・HDLコレステロールの合計に近い数字になります。

 まずは中性脂肪。トリグリセリドとも呼ばれており、「TG」と表記されていることもあります。ちょっと難しそうですが、じつはわれわれが普通に口にする動植物性脂肪と同じものと考えて差し支えありません。脂肪は水に溶けないので、タンパク質などと結合して「リポプロテイン」と呼ばれる粒子を形成し、血中に溶け込んでいます。

 日本人間ドック学会による基準値は、次のようになっています。

29㎎/デシリットル以下:異常
30~149㎎/デシリットル:基準範囲
150~499㎎/デシリットル:要注意
500㎎/デシリットル以上:異常

 低すぎると低栄養の可能性があります。ダイエットなどで極端に痩せると、エネルギー不足に陥ります。もっと食べないと体力が持たず、すぐに疲れてしまいます。またとくに食の細い高齢者ではフレイルが心配です。

 しかし、多くのサラリーマンは「要注意」のカテゴリーに属しているのではないでしょうか。肥満気味で、食べすぎや運動不足など、思い当たる節があるのでは……(筆者もその一人ですが)。

 もちろん高いからといって、すぐにどうなるわけではありません。ただ余分に食べた脂肪は、皮下や内臓の周りに蓄積されて、糖尿病や腎臓病などさまざまな生活習慣病の遠因になります。また肝臓にたまると脂肪肝になり、そこからまれに肝硬変や肝がんなどに進むことがあります。脂肪肝と言われたら、年に1回、超音波検査を受けておいたほうがよさそうです。

 なお、食後に中性脂肪が大きく跳ね上がる体質の人が、少なからずいます。ですから「いい結果」を望むなら、食後10時間以上空けてから採血に臨んだほうがいいでしょう。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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