健康指標の意味を知る

【視力検査】健診では一部しか受けられない…重大な眼病の発見には不向き

写真はイメージ
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 視力検査なんて今さら、という声が聞こえてきそうですが、健診でわれわれが受けているのは、視力検査の一部に過ぎません。

 健診で行うのは「裸眼または矯正」「遠方」「片眼」検査です。メガネやコンタクトレンズをつけている人は、普通は矯正視力のみ測ります。

 遠方視力は、視力表を5メートルの距離から見たときの視力。視力表とは、例の「C」の字(ランドルト環)が並んだ表のことです。検査では、オタマのような道具(遮眼子)で片目を隠すので、片眼検査と呼ばれています。基準値が設定されており、左右とも0.7以上なら正常と判定されます。何も問題ないように思えますが、この検査では遠視、つまり近いものがどれだけ見えにくいのかは分かりません。それを調べるためには「近方検査」を行う必要があります。近方用の視力表(下敷きぐらいの大きさの板にランドルト環を印刷したもの)を、目から30センチ離して、小さいほうがどこまで読めるか調べるのです。

「両眼視力」つまり両目で見たときの視力も大切です。普通は片眼視力よりも良くなります。自動車免許の視力は「両目の視力が0.7以上」となっていますが、これは両眼視力のことを言っています(もちろん矯正視力で構いません)。

 視力検査は視力だけの測定なので、目の重大な病気の発見には不向きです。たとえば初期の白内障や緑内障は分かりません。白内障は、ある程度進むと目がチカチカしたりピントがボケたりするので、気がつきます。しかし緑内障は気づきにくいといわれています。40歳以上で20人に1人が緑内障になるといわれており、高齢になって失明する原因になります。

 健診のみに頼るだけでなく、ネット上にあるセルフチェックツールを活用すれば、早期発見が期待できます。たとえば日本眼科啓発会議のホームページのツールがおすすめです。白内障や緑内障の早期発見に役立つツールが、複数用意されています。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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