健康指標の意味を知る

【健診と検診の違い】特定の病気の早期発見が目的なのは…

「人間ドック」は健診と検診の中間的立ち位置
「人間ドック」は健診と検診の中間的立ち位置(C)日刊ゲンダイ

 一般的な健診項目については、前回の聴力検査でほぼ終了しました。そこで今回から「がん検診」について見ていきたいと思います。しかしその前に「健診」と「検診」の違いについて、ざっと説明しておきます。

 健診は「健康診断」、厚生労働省的には「健康診査」という言葉の省略形です。各自が現在の健康状態を知って、病気の予防に役立てることを主眼としています。

 一方、検診のほうは「特定の病気の早期発見」を主眼にしています。大きくは国が主導し、市町村が住民サービスとして行う「対策型検診」と、病院などが独自に提供する「任意検診」に分かれます。

 現役世代が受ける「人間ドック」は、健診と検診の中間的な立ち位置にあると言っていいでしょう。普通の健診よりも項目が多くなる分、健康状態だけでなく、より正確な病気のスクリーニングが可能になります。

 普通の健診に任意項目を追加することになるので、それなりの費用がかかります。ただし会社の健保組合などから補助が出るため、安く受けられるはずです。またどの病気にフォーカスしたいかで、検査項目を選べるようになっています。

 より専門的な、臓器別の人間ドックも用意されています。「脳ドック」や「心臓ドック」「腎臓ドック」などです。これらは任意検診の一種になりますから、料金は高めです。しかし通常の医療とほとんど違わない専門的な検査が行われるので、それで病気が見つからなければ、当分は安心していられます。

 普通のがん検診は、対策型検診です。かなり安く受けられますが、「肺がん」「胃がん」「大腸がん」「肝臓がん」「乳がん」の5つに限られており、しかも検査方法に制限があります。もっと詳しく調べたい、あるいは別のがんも調べたいのであれば、病院が提供するPET検診などを受ける必要があります。ただし検査料は原則として全額自己負担になります。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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