「立ちんぼ」の一掃で梅毒の増加は抑えられるのか…新宿歌舞伎町で95人逮捕

多くの若者で溢れかえる新宿歌舞伎町(C)日刊ゲンダイ

 それでも警視庁の取り締まり強化が始まる前の新規感染報告者数は第32週(8月7日~13日)67件、第36週(9月4日~10日)59件、第40週(10月2日~10日)80件、第44週(10月30日~11月4日)47件と、凸凹はあるものの徐々に減っているように見える。

 東京同様に梅毒の新規感染報告件数の増加が目立つ北海道では歓楽街のある札幌市保健所管内からの届出が多く、病院を受診した人の多くが“遊んだ”後での感染が確認されている。はたして、路上の客待ちの取り締まり強化は梅毒の防止強化につながるのか?

「たしかに路上で売春する女性たちは、風俗店の女性たちのように定期的に性感染症の検査を行っていると考えられるのに比べ、梅毒を含めた性感染症の感染リスクは高いと考えられます。今回の検挙者のなかにどれだけの感染者がいたかは不明ですが、何人かは感染していた可能性があってもおかしくない。その意味では、多少の感染防止にはなったかもしれません。ただし、それが原因で感染者数が減ったとは考えられません。たとえば、今年の秋に歌舞伎町近くで長年、性感染症専門の診断と治療を行ってきた医院が閉院しました。そのため、新規感染報告件数が減少した可能性があります。ひょっとしたら、それまでは迅速にその医療機関から報告が上がってきていた新規の梅毒感染者が受診機会を失ったことで、数が減ったように見えているのかもしれません。そもそも統計数値に現れていない感染者も相当数いるはずで、いまの梅毒流行はもっと根が深いと考えています」

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