病院は本日も大騒ぎ

避難場所に居場所なし 被災地で悪化する高齢者の認知症

(C)日刊ゲンダイ

 Aさんはこう言い、熊本で一人暮らしの80代の母親を心配しておられました。

 医療関係者の間では大地震後に認知症の症状が悪化することが知られています。例えば、新潟県中越地震後の調査では、地震発生後1週間以内に認知症患者の43%に症状の変化があったそうです。しかも、軽度の認知症だった人の方が、症状が悪化することが多かったそうです。東日本大震災でも同様な報告がありました。

 通常、災害を受けた人は4つの心のプロセスをたどるといわれています。まずは、災害発生直後の「英雄期」。家族や近所の人の命や財産を守るために、危険をかえりみない勇気ある行動を取る時期です。震災後1週間~半年は「ハネムーン期」で、激烈な体験をした被災者同士が強い連帯感で結ばれます。震災後2カ月~1、2年は「幻滅期」で被災者の忍耐が限界に達してケンカやトラブル、飲酒などの問題が起き、地域の連帯感や共感が失われます。そして被災地に「日常」が戻る「再建期」が訪れるのは数年後といわれています。

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