中高年女性がかかりやすい病気

生理3日前から咳込む人も 喘息は20歳過ぎると増えてくる

生理2~3日前から咳き込む人も
生理2~3日前から咳き込む人も(C)日刊ゲンダイ

 あなたの奥さんは、最近激しく咳き込んだりすることがありませんか。もしかしたら、喘息かもしれません。

「喘息なんて子供の病気。しかも男のほうが多い」

 そう思い込んではいませんか。確かに小児喘息は、男の子に多い病気です。10歳までの総患者数は、男子約2万100人、女子約1万4800人となっています。しかし、中学校に上がる頃までに治ってしまう子が多く、また男女差もほとんど見られなくなります。

 ところが20歳を過ぎる頃から、女性の喘息患者が徐々に増えてきます。成人女性の喘息発作は、月経周期と相関していることが知られています。

 月経が始まる2~3日前から、3~4割の患者が咳き込むことが多くなるのです。そのため「月経喘息」とも呼ばれています。肺の上皮細胞には、エストロゲン(女性ホルモン)の受容体があることが知られています。エストロゲンは月経周期に応じて増減するため、喘息発作と関係があると考えられています。

 女性の喘息患者は、更年期が始まる40代でピークを迎えます。中高年(40~64歳)の患者数は、男性約9800人に対し、女性約1万9600人。女性ホルモンのバランスが崩れることが、喘息の引き金になるといわれており、「更年期喘息」と呼ぶ医者もいます。

 もちろん、ハウスダストやたばこの煙なども喘息を引き起こしますが、更年期も原因のひとつということです。

 もしあなたの奥さんが更年期を迎えているとしたら、それだけで体調が悪く、不機嫌なはず。そこに喘息が加われば、本人のみならず、あなた自身もかなりつらい思いをするかもしれません。しかし、右のような事情を知っていると、少し冷静に対応できるのではないでしょうか。

 更年期が終われば(つまり年齢が上がれば)、更年期喘息の患者も減っていきます。男性側もそれまで我慢していれば、無事に乗り切れるかもしれません。

 ちなみに喘息で亡くなる中高年は多くはありませんが、2016年において、男性40人、女性32人が犠牲になっています。患者数では女性のほうが2倍なのに、死亡数では男性よりも少ないのですから、やはり女性は丈夫ということなのでしょう。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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